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「権威主義家族の特徴
 ——相続上の規則によって兄弟間の不平等が定義されている——財産の全てを子供たちのうちの1人に相続。
 ——結婚し相続する子供と両親の同居。
 ——ふたりの兄弟の子供同士の結婚は僅少、もしくは無」108頁

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「主要な問題は、家族の理想が具現化されることで、2組または3組の婚姻カップル(核家族集団の場合は1組だけ)からなる目に見える具体的な家族集団の姿が実現されるためには、家族の価値だけではなく、さまざまな状況や物質的な条件が必要となるということなのである。だから稠密で複合的な家族は都市部では、常に農村部よりも少ないのである。しかしそれは決して家族の価値が弱体化していることをア・プリオリに意味しているのではない。都市部では、それらの価値が複数の成人の同居や共同の労働というかたちとは異なるやり方で表現されるのである。家族は単に可視的な組織であることをやめたということに過ぎない。農村の生活に結晶化している家族の価値は、都市では非物質的な心的構造の状態に移行するのである」89-90頁

反証不可能な議論に思えるが…

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「一般的にいって、自殺は、その家族システムの密度が高く、縦型で、両親と子供たちの相互依存を強いる国であればあるほどより頻繁に発生する。ここでは父と息子の関係の潜在的に病理的な性格についてのフロイトの直観が正しかったことを統計によって確認することができる。権威主義家族と外婚制共同体家族が核家族のモデルよりも明らかに不安発生要因をより多く孕んでいる。したがってより高い自己破壊の頻度を生み出している。
 しかし家族関係が縦型であるということが自殺の唯一の要因ではない。夫と妻の関係の平等と安定の度合いは、同じくらい重要なもうひとつの要因である。…自殺の動機における男女の関係の重要さが、なぜ外婚制システムが内婚制システムよりもはっきりと地球規模で高い自殺率を生み出すのかを説明している。…
…最も高い自殺率はその家族システムが、<外婚制で、同時に強い縦型の要素を内包し、男女の平等な関係を有し、高い離婚率>をもつ国々で観察されるのである。…
 言語学的な見せかけにもかかわらず、[自殺率が高い]キューバは共同体家族の国なのだ、という単純な仮説を立てる必要があるのである」87・89頁

若気の至りなのか、けっこう無茶な議論してるなあ

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「外婚制共同体家族はロシアでは完璧に炸裂したが、中国の農村部では部分的にしか瓦解しなかった。ロシアで生まれた共産主義は、ロシアがもつ平凡であると同時に極限的な家族構造の例外的な人類学的緊張によってはじめて発明されたものであった」83頁

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「夫婦の年齢的な関係が平等的であるロシアの伝統的な家族は、典型的な共同体家族の姿を見せるとともに核家族の様相をも呈している。構造的に破裂するようにできており、伝統的家族を構成する複数の夫婦を解き放つことになるようにみえる。19世紀から20世紀にかけてツァーリによってはじめられ、次いでソビエトに受け継がれた近代化が実現したものがそれであった」82頁

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「共産主義、それは外婚制共同体家族の道徳的性格と調整メカニズムの国家への移譲である、と。外婚制共同体家族が、都市化、識字化、工業化などのいわゆる近代化のプロセスによって解体されながら、その権威主義的で平等主義的な価値を新しい社会に伝えているのである」78頁

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「外婚制共同体家族の特徴
——相続上の規則によって兄弟間の平等が定義されている。
——結婚している息子たちと両親の同居。
——しかしふたりの兄弟の子供同士の結婚はない。」78頁

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「共産主義はまず特定の人類学的構造[外婚制共同体家族]によって産出され、次いでその躍進は壁にぶつかり止まった。それ以降の歴史は軍事的なものである。赤軍によって共産主義が外から強制されたところでは、人類学的組成が常に激しく反発し、しばしば奇妙な反応をみせた。いくつもの折衷的な政治形態が出現した。…これらの変異のひとつひとつが共産主義の移植に対する拒絶の現象であり、家族的土壌の性質に応じてその形態は変化したのである。ポーランドでは平等主機的家族、北朝鮮では権威主義家族、アフガニスタンでは内婚制共同体家族、カンボジアではアノミー家族の土壌に移植が行なわれたのである」75-6頁

ここの説明はかなり苦しいように思うなあ

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「家族構造は、また言語集団とも一致しない。…明白で検証可能な唯一の一致は家族とイデオロギーのそれであるが、家族とイデオロギーというのはひとつの価値システムの2つの異なる表現レベルにそれぞれ相当するものである。この価値システムが、それぞれ人間関係と社会関係において自由と対称性の理念を定義し、組織しているのである」73・75頁

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「配偶者の選択プロセスは4つのタイプ(2つではない)の自由(あるいは不自由)を定義しており、それとともに7つの家族が存在するのである。
 この4つのタイプの広がりのなかでは、ル=プレの諸類型は中間的な状態に相当する。BタイプとCタイプの婚姻の選択が、西欧の自由主義と権威主義の教義をイデオロギー的な反映として持つことになる。このように整理することでイングランドとフランスの伝統から引き継いだ自由についての古典的な政治学の定義がもつヨーロッパ中心主義を免れることができるのである」70-1頁

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「内婚制と外婚制の間にある亀裂は、自由と平等に影響を及ぼさずにはおかない。結婚上の選択は、相続の規則、同居の規則と同じ程度に、権威の観念や正義の観念を定義するものである。ル=プレの概念化は、自由と服従、平等と不平等という二重の二分法に依拠している。そこに近親相姦の禁止を考慮に入れれば、もしや単に2つのレベルの自由ではなく、4つのケースを識別することができるようになるとともに、より広いカテゴリーのなかで平等の観念を対称性として捉えることができるのである」69頁

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「アフリカ——家族集団の不安定性
…家族集団の歴史は、ここでは他の地域のようにいくつかの重要な節目——誕生、結婚、他界——に要約できない。無数のアフリカ・モデルのなかでは、人々は子供たちも、女たちも、男たちもひとつの人生のなかで、論理的には家族とは呼ぶことができないいくつもの家族形態を倦むことなく作っては解体する循環のなかにいるのである。基本的な人間関係のこのような流動性の象徴が結婚なのだが、アフリカではその根本的な構造的特徴が夫と妻の絆の脆弱さにある。
…ブラック・アフリカでは一夫多妻は規範であり、統計上しっかりと実現されているひとつの理想なのである。その結果として出現するのが離婚であり、その頻度は世界の他の地域では未知の水準に達している。
…アフリカでは一夫多妻と離婚が規範なのである。…その多くが明確に外婚制であり、近新婚の禁止を遵守している。…
 しかしながらアフリカは<ひとつ>の家族タイプではなく、複数の個人の相互関係の不安定性という新しい基準によって産出される複数のタイプの<総体>なのである。したがって私は不安定なシステムという言い方をすることにしよう。家族という用語は安定した家族グループに取っておくことにする」67-8頁

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「核家族と近親相姦の禁止の緩和——アノミー型
 近親相姦への恐怖が和らぐと、核家族は別用に徹底した結果を獲得するようになる。両親と子供たちの分離という理想の上に築かれた核家族は、結婚による血族の分離という原則が緩むと構造体として耐えることができない。
 実は外婚制規制というのは核家族が拠って立つ目に見えない無意識的な土台なのである。ふたりの兄弟の子供たちの結婚を禁止しているのも、彼らの分離の原則を論理的に補足するものなのである。…
…<構造の不在>そのものがひとつの特殊なタイプの構造となったのである。私はこの不規則な核家族モデルを、エミール・デュルケームへの賛辞をこめて<アノミー家族>と呼ぶ。
 このタイプが存在するということは、核家族のヨーロッパ・モデルをよく理解するためにきわめて重要である。ヨーロッパ・モデルの方は人類学的には統御は弱くない。核家族が実現するためには、特に外婚制という明確な人類学的規範が厳格に適用される必要があるのだ」65頁

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「理論的に不可能な母方平行イトコ同士の結婚の場合…実のところ、家族の理想が母系原理に統御された拡大集団、つまり兄弟の連帯ではなくむしろ姉妹の連帯によって統括された拡大集団を家族の理想とするような定住農民社会は存在しない。唯一ふたりの姉妹とその伴侶からなる家族集団だけが、母方平行イトコ同士の選好婚を生み出すものとなるはずである。だがそのようなシステムは、近親相姦の禁止という原理よりも実際にはるかに普遍的な男性優位の原理と矛盾するのである。この男性優位の原理はその発現の仕方と強度に差があり、近親相姦の禁止ほどには人類学者たちの注目を集めなかったのである」63-4頁

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「この家族モデル[交叉イトコ婚]は、外婚制共同体家族と内婚制共同体家族の中間態である。内婚制的志向と外婚制的志向が組み合わさっている。とはいえこれらも、先の2つの家族モデルのように、兄弟と姉妹の連帯というテーマの一変種である。この交叉イトコ同士の選好婚は共同体家族集団にしか呼応しないものである。イデオロギー的なレベルでカースト・システムほ生み出すのはこの家族タイプである」63頁

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「父方イトコ同士の結婚が行なわれている家族システムでは、実際には交叉イトコ同士の結婚もまた非常に頻繁に行なわれている。これはまったく当然のことである。兄弟の連帯とは、兄弟姉妹の集団全体の連帯の一側面に過ぎない。アングロ・サクソンの人類学者だったら、これを中性的な集団として表すシブリングス〔siblings〕という用語を当てることで満足することだろう」62頁

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「ル=プレの家族タイプの全てが外婚制規制の緩和によって同じように影響されるわけではない。
 ——共同体家族は、近新婚のタブーが弱まると、<内婚制共同体家族>と<非対称型共同体家族>という2つの新たなタイプを生み出す。
 ——権威主義家族は外婚制規制の緩和によって根本的な変化を受けない。したがって近新婚のタブーが弱まっても『外婚制』権威主義国家と根本的に異なるタイプは産出しない。
 ——絶対核家族と平等主義核家族は、近新婚の禁止の弱まりによって同じ方向への変容を被る。それは無規則的な核家族として定義できる<アノミー家族>というひとつのモデルを生み出す」61頁

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「イデオロギーの領野は、どこでも家族システムを知的な形式に転写したものであり、基礎的な人間関係を統御している根本的な価値——例えば、自由、平等、そしてその反対物——を社会的レベルに転換したものである。各家族タイプには、ひとつのイデオロギーだけが対応している。
…定義された家族形態のそれぞれには、イデオロギー・システムはひとつだけ対応し、そのイデオロギー・システムが、世界中で他の家族形態が支配的である地域では確認されていないこと(数学用語では家族タイプの集合が政治的タイプの集合と<1対1対応>していること)…
 補足的な制約条件として、所定の人類学タイプが内包する家族形態の二次的な変種には、対応するイデオロギー・タイプが内包する政治的もしくは宗教的形態の二次的な変種が対応していなければならない」56-7頁

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「ル=プレのモデルを元に定義することができる4つの家族類型[絶対核家族、平等主義家族、権威主義家族、共同体家族]のいずれかがヨーロッパの各列強の支配的な類型であり、この大陸の各大国が類型的な可能性のいずれかを体現してきたことは人類学上の偶然によるのである」54頁

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「トックヴィルの誤謬
…民主化をこの2つの要素——<大衆化>と<個人主義的平等主義>——に分解してみると、前者だけが普遍的なものであることに気づくことができる」53頁

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