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見えてからが遠い街へと行くバスの記憶に残らないほどのまどろみ / 生田亜々子

「見えてからが遠い街」、端的で良すぎる。
おそらくひとりで、バスの窓側の席に座っている。ここまで長くバスに揺られてきたからこその、ぼーっとしていたのか、ちょっと寝ていたのか、もはや自分では分からないほどの意識の切断。ふっと目を開けて見ても、まだ街は遠い。旅情だ~。
下の句の字余り。多分多少弄れば定型化はできるけど、歌ののったりした景のイメージと合致しているので個人的には好き。

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(続)

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かばん11月号から月々3首選チャレンジ。
今月は「これ自分が詠めたい方向性!」という切り口で選んでみて共通点を探ってみる。

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すずしいね すずしい 囁きあった戸口で別れる前の時間を / とみいえひろこ

無闇に空けるのは好きじゃないのだけど、これは一字空けが効いていると感じる。
ふたりが互いに別れを惜しんでいて、けれど次に会う予定やこの後もう少しどう?みたいなことを言い出さ(せ)ないときのあの余白。あるいは「すずしいね」に対する頷きの1拍。「すずしい」のサ行の連続が「囁く」イメージと美しく合致する。
連作のタイトルは『長い八月』。夏の終わりの、浅い夜の景が鮮やかに浮かぶ。

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(続)

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Twitterの「撃ち抜かれた短歌を語る」タグで引いていただいたので記念サルベージ
おおきな水の循環を詠んだ歌なのだけど、自分でも気に入ってて現段階で名刺代わりに出したい1首はこれだな~と!

雨それは雲それは海それは川それはあの日の涙 おかえり / 夏山栞

そんなこんなで神丘氏とかばん11月歌会参戦してきた~👜

こんなに丁寧に真摯に読んでもらえる場があるのは本当にありがたいな~というのと、やっぱ読みぢからが自分に足りなすぎるからもっとインプットしたいなを改めて感じました…… :ablobspin:

1首選では自分ではけっこう意外なところ(以下の歌)を多く議論&取ってもらいました どの歌が響くか掴みきれねえ……!

まちがった答えを言った問3のことだけずっと考えていた / 夏山栞

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さびしさをさびしさのまま抱くときの誰にも踏ませない霜柱 / 夏山栞

かばん11月号、届いてました!👜
私は『バイエル』という連作で8首掲載いただきました。表紙のポメらしき :wanpuppu: がめちゃくちゃ可愛い

わたしにはシロだけなのにシロは誰にでもしっぽを振ってかわいい / 夏山栞

1年前の今日の歌、Twitterで引いて頂いてたので再掲~

ロケットの切り離された側のことすこし目で追う 仕方なかった / 夏山栞

時間かかっちゃいましたがかばん10月号読了。
こういうの詠めてえな……!と思った歌を3首厳選でピックアップ。言語化習慣!

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ガス灯は燃えながら立つ少しずつ誰の理想の国も怖いよ / 湯島はじめ

真ん中にある「少しずつ」が「燃える」と「怖い」の両方に掛かっているので、一見突飛な飛躍が納得感のある着地になっててめちゃくちゃ上手いなと感じた。

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性格が国土地理院本当は海で水着ではしゃぎたいのに / 深海泰史

インパクトじゃねーか!という内なるツッコミもありつつ、絶妙なワードチョイスだなと思った。「堅い」に類することを言ってると直感的にわかるし、その上もうちょっと広めのニュアンスも感じ取れる。

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悲しみはこれくらいの小指であるが決してあなたの小指ではない / 折田日々希

本来「悲しみはこの小指くらいである」はずなので文法的におかしい。が、絶対敢えてこの語順だしその引っかかりが良いなと感じた。着崩しの妙的な。

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こじらせた風邪のさなかに見る夢にだけ建つリフォーム前の実家は / 夏山栞

かばん10月号、届きました👜
改めまして、今月から誌面にお邪魔してます。よろしくお願いします!

初回は『夏の山』という連作で8首掲載頂きました。

めちゃめちゃに満ち足りている犬と目が合う遊歩道 ゆるされようね / 夏山栞

へんな顔した置物を買っちゃって旅行かばんのへんな膨らみ / 夏山栞

わたしたち棲むべき星をまちがえているから青のネイルが似合う / 夏山栞

乗り換えの駅でかきこむ立ち食いのうどんみたいにあたしを抱くな / 夏山栞

キープってなんだよいつか使うかもしれない伊勢丹の袋かよ / 夏山栞

地上波でカットされちゃうシーンだなわたしが泣いているとこなんか / 夏山栞

悪役であれよ東京なんで今ちょっとやさしい目をしたんだよ / 夏山栞

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