かばん11月号から月々3首選チャレンジ。
今月は「これ自分が詠めたい方向性!」という切り口で選んでみて共通点を探ってみる。
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すずしいね すずしい 囁きあった戸口で別れる前の時間を / とみいえひろこ
無闇に空けるのは好きじゃないのだけど、これは一字空けが効いていると感じる。
ふたりが互いに別れを惜しんでいて、けれど次に会う予定やこの後もう少しどう?みたいなことを言い出さ(せ)ないときのあの余白。あるいは「すずしいね」に対する頷きの1拍。「すずしい」のサ行の連続が「囁く」イメージと美しく合致する。
連作のタイトルは『長い八月』。夏の終わりの、浅い夜の景が鮮やかに浮かぶ。
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(続)
時間かかっちゃいましたがかばん10月号読了。
こういうの詠めてえな……!と思った歌を3首厳選でピックアップ。言語化習慣!
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ガス灯は燃えながら立つ少しずつ誰の理想の国も怖いよ / 湯島はじめ
真ん中にある「少しずつ」が「燃える」と「怖い」の両方に掛かっているので、一見突飛な飛躍が納得感のある着地になっててめちゃくちゃ上手いなと感じた。
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性格が国土地理院本当は海で水着ではしゃぎたいのに / 深海泰史
インパクトじゃねーか!という内なるツッコミもありつつ、絶妙なワードチョイスだなと思った。「堅い」に類することを言ってると直感的にわかるし、その上もうちょっと広めのニュアンスも感じ取れる。
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悲しみはこれくらいの小指であるが決してあなたの小指ではない / 折田日々希
本来「悲しみはこの小指くらいである」はずなので文法的におかしい。が、絶対敢えてこの語順だしその引っかかりが良いなと感じた。着崩しの妙的な。
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20↑ she/they🏳️🌈
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関係性のおたくです。ここは雑多な人生実況アカウント!
📝歌人集団かばん所属
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