荒木あかね『ちぎれた鎖と光の切れ端』
登場人物の容姿に過剰な言及がないのもすごく楽だった。
若い作家さんがこういう物語を書いているということがめっちゃ嬉しい。
男女が親しくしていたり共に暮らしていることを、恋愛/性愛関係だと他人から勝手に決めつけられる煩わしさや怒りの描写がしっかりあるのも嬉しかったので、続編が出るとしても彼らの関係性に恋愛は絡まないでほしいな。
すごく誠実なミステリだと思いましたが、事件そのものや展開はエグくて辛いので、誰にでもオススメ!かどうかは分からないのですが……。
それと九州地方に蔓延る男尊女卑については、偏見を再生産してしまうのでは……?という懸念も少しあるのだけど、「田舎だとバカにして、そこに住む人間を蔑ろにするな!」という旨の釘刺しはちゃんとありました。
めちゃくちゃ真っ当なメッセージのあるミステリで嬉しかったのに、またKADOKAWAが最悪すぎて……