舞踏も好きだしサーカスも好きだし四季ならキャッツが好きなのでひたすら身体芸を鍛え上げた人間を見るのが好き説ある

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ミュージカルは好きだけど私はミュージカルじゃなくてもいいのかもと思った
ダンスと演劇が好きだな

もちろん衣装やメイクの力もあるけど、身体表現一つで老若男女を演じ分けながら踊る梅棒は面白い。セリフがないものだから、演じる年齢も性別もかなり自由自在だ。
コアメンバーは大学同期や同時期のサークル仲間、大会で顔馴染みだったメンバーなので40歳前後だし、あとから加入したメンバーも30代半ばくらい。でも15歳の少年少女も20代の女の子も50代のおやじも70近いおばあちゃんおじいちゃんも演じながら踊る。ダンスというには演劇だし、演劇というにはダンスだし、いい団体を知れて良かったと毎回思う

普通ダブルキャストトリプルキャストというと1つの役に複数の役者がいて、2役×2人ならAaAbBaBbみたいな組み合わせを楽しむものだと思うけど、梅棒は今回「梅棒メンバー+leadの谷内くんは強制的に2役やる。2役の組み合わせは固定で、改バージョンとZバージョンの配役がある」という「梅棒+谷内くんは振付を2倍覚えるというドM仕様」での上演だった。
公演は東京だけで3週間にわたり、最初の週が改バージョン、翌週がZバージョン、そして最終週はなんと昼夜で交互に上演。
バージョンによって男役女役を兼ねる人も数人いる。マチソワ間でメイクだけでなくネイルも塗り替え、仕草や踊りも全て切り替え、全員見事だった。
さらに梅棒メンバーときたらオープニングのソロダンス(役の衣装ではない、素顔に揃いの衣装)をみんな2バージョン用意してきて踊っているという…凄すぎてわけがわからない。
ダンス好きには豪華すぎる観劇期間だった。

また梅棒本公演が終わってしまった。
しばらくは振付や個別の外部出演なので12月の本公演に向けてゆっくりお金を貯める期間。
直近の舞台はキャスト19人で18役の舞台を2バージョン。
18役中9人がバージョンによっては違うキャラを演じるのでアホのように劇場に通った。
イラストの1、2、4枚目は同じキャストの別役の絵。特に1、2枚目は同じ曲を踊っているのにバージョンによって別役という「頭こんがらがったりしない??」な場面。執事とヤクザ、おばあちゃんと頑固親父。
私は梅棒の「基本的にセリフがないから声の演じ分けがいらなくてジェスチャーに注力」なのが好きで、ジェスチャーに全振りするからこそ役の人となりによって踊り方や細かな手つきや目線が変わるのがめちゃくちゃ面白かった。
シャッフルキャストなんてお金と休みがいくらあっても足りない…

このままじゃなくてこの調子でだね
歌詞間違えちゃった

曇天ガエシのときは黄金の国で国中の金を独占する女王がテロ組織と対峙して一触即発というところでawichとanarchyの「やっちまいな」が選ばれていて、「私は殺し屋なんかじゃないでも見くびらないで」「こいつを狙うんだったら無傷では帰れないぜ」「queenの一言で金が舞う」あたりの歌詞が絶妙なフィットだった

花婿は迷探偵では私の最推しシングルマザーのキャラがソロで踊るところの歌詞が「子供たちと以外遊ぶ暇ない」「子育て仕事にpeace to the world」で最高だった

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借金大王、借金重ねる友人についての歌詞で「このまま様子を見ていていいのかこっちがハラハラしちまう」というフレーズがでてくるが、舞台では「借金取りが借金負った息子の父親に絡んでいたらはずみで父親が頭を打って気絶してしまう。『殺した…?』と不安になりちょっと蹴飛ばすところで『このまま様子を見ていていいのか』。そんで父親が反応して生存がわかったところで『こっちがハラハラしちまう』」と絶妙に意味を変えて合わせてくるのが面白い

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セリフがないから役者の年齢性別自由自在で、セリフがないから言葉選びへの引っ掛かりがなく、解釈は自由で、さらに劇伴に使われるJ-POPの歌詞が急にセリフのように聞こえて面白いんだ…

今観てるやつ、借金した主人公が取り立てのチンピラに絡まれて、ウルフルズの借金大王が流れる。「貸した金返せよ♪今すぐに返せよ♪」の歌詞だ。めちゃくちゃ分かりやすい。全編歌詞通りに進むわけではないが、要所要所の展開と歌詞がビタビタにハマるのがいい。
金の亡者になって¥マークのお面をつけたみなさんのところでアヴちゃんが「誰を生きたか忘れちゃった!」って歌うので痛快すぎるし、札束を追い求めるときにアヴちゃんが「どうやら全ては叶わない 叶わない」って歌うのだ。作劇と曲選びと演出が天才すぎる。

私は関係性とか場面のイメソン厨だったのだが梅棒はシーン全部J-POPでできてるからなんかドラマ仕立てのMV20曲以上メドレーで観てるような感じで楽しい

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去年から私は何がなんでも梅棒おすすめするマンになっているので

「面白い舞台ないかな」「梅棒だよ」
「ダンス観たいな」「梅棒だよ」
「爆音でJ-POPを聴いてみたい」「梅棒見なよ」
「いい演劇が観たい」「梅棒だよ」
「創作のインプット不足で」「梅棒だね」
「イメソンが好き」「じゃあ梅棒好きだよ」

みたいになってる

メンバーにはその価値観どうなんよって人がいなくもないけど。でもまあお出しされる舞台が結果的にめっちゃ皮肉が効いてて良かったし投票先は知らんけどちゃんと選挙行く人たちだし舞台中も選挙行きましょうって呼びかけるしそこは良い

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今回だけかもしれないけど、「おそらく本人たちは深く考えずにおもろいから作ったであろう話が6年経って再演されることにより現代社会の痛烈な風刺になってしまう」偶然性にめちゃくちゃ楽しませてもらった。すごく良かった

あと2週間足らずで今回の梅棒が終わるの心の底から耐えられない…
面白かったなあ
2バージョンあと1回ずつ観れるけど 寂しいなあ

「あれはインフル¥サーなんだね」って観劇後に妹と話が合った

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梅棒観てきたあと恒例でセットリストをプレイリスト作って聞いてるんだけど、音楽聴いてると芝居が思い出される。今日も観に行くんだけど…本当に今回の最悪資本主義パート(最悪資本主義パートとしか言いようがない)が好きすぎる。
乃木坂のインフルエンサーから女王蜂のメフィストをBGMに札束と着飾ったマネキンと踊り狂う男女(しかも顔を¥マークで隠されている!)、本当に気持ち悪くて怖くて耽美で大好きなシーンだ。主人公を追ってやってきた幼馴染が大量のマネキンに阻まれて彼に辿り着けないのも好きだ。経営者側の人間が餌のように札束を撒くと¥の人たちが妖怪のように動物のように群がるのも気色悪くて最高だった。
意図して皮肉な演出にしてるのかはわからないけど、私はここの演出家が好きだと確信。気が早いが次回作も楽しみだ

おばあちゃん役、関節の曲がりが「伸びない」んじゃなくて「伸ばすのが億劫・疲れる」なんだろうなと思えるのがまた良い。
カーテンコールのお辞儀も、誰より早く上体を起こしてしまう。腰が痛いのかせっかちなのか。それで客席をキョロキョロ見て愛想よく手を振るのがかわいい。「元気なおばあちゃん」の解像度が高い。いいもの見れてる

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普段めちゃくちゃキビキビ踊れるダンサーが老人役を演じるにあたり、「関節という関節が微妙〜に曲がっている」ままで踊るの凄すぎてよくわからない。ちゃんとおばあちゃんだった。
それでいてその老人が笑いをとる場所ではキビキビ伸びやかに踊るので、ギャップが楽しい。

一方の中年頑固親父の役はまだ身体がきくのでダンスに制限があまりない。得意なダンスジャンルも出しやすいようで、ラーメン屋の湯切りをKRUMPで表現するのは毎回めちゃくちゃ笑ってしまう。

身体表現への強烈なこだわりを観るのが好きだと2バージョン観れるのは嬉しすぎる

しかし2バージョンでシャッフルキャストの舞台、沼だな…。
2バージョンどっちもに出るキャスト17人。
片方のバージョンにしか出ない人2人(その2人が前述の男女で同じ役やるやつ)。
なので板の上には18人。
役が固定の人、9人。
バージョンによって役が変わる人、9人。
面白いことに、演者が変わると役固定の9人の芝居も全然変わる。お話と登場人物は一緒なんだけど、より親しげになったり、ちょっと空気感が変わる。もちろん同じ役を交換する9人も演じ方の違いが面白いし、衣装やウィッグを全く別に用意するスタッフワークもいい(同じ役でも2人の演者に対して全く違う見た目が用意される)。
観る方はめちゃくちゃ面白いが、役が変わる9人は覚える振付や段取りが2倍になって大変そう。笑 2バージョンで片方は男役・片方は女役な人も多くて、歩き方や仕草の切り替えに大混乱したらしい。
でも観ているとそんな混乱はわからず、両バージョンとも毎回面白い。フリ間違えたり出トチりそうなのに。

私は推している人が「孫に甘々な祖母」「息子と折り合いの悪い頑固親父」を兼ねているのだけど、役によって身体の使い方や表情や踊りが全く違って見飽きない。プロはすごい。

今観てる舞台、同じ役を日によって2人の違うキャストが演じるんだけど、作中のポジションは同じで演者が女性と男性という役があって。女性演者のときと男性演者のときで役の名前も変わる。
女性演者のときは衣装もスカートで名前も女の子の名前っぽいが、男性演者のときは衣装がズボンになって名前も一見男女どちらかはわからない名前になる。一人称も「ウチ」で、どうとでも取れる。演者は声色を作ったり女装したりはしない。
ただどっちの演者の場合もその役は可愛いものを愛して町の男性に恋をするので、私は「お、男性演者のときは衣装も名前もやや男の子寄りに変えてるけど恋愛描写は変更しないんだね!」と喜んでいる。その相手役の人も演者によって想いを受け止める反応は変えないし、結末では幸せそうなペアダンスがある。私はその演出がとても好きだし誠実だと思ってる。いい舞台を観た

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