セリフがないから役者の年齢性別自由自在で、セリフがないから言葉選びへの引っ掛かりがなく、解釈は自由で、さらに劇伴に使われるJ-POPの歌詞が急にセリフのように聞こえて面白いんだ…
今観てるやつ、借金した主人公が取り立てのチンピラに絡まれて、ウルフルズの借金大王が流れる。「貸した金返せよ♪今すぐに返せよ♪」の歌詞だ。めちゃくちゃ分かりやすい。全編歌詞通りに進むわけではないが、要所要所の展開と歌詞がビタビタにハマるのがいい。
金の亡者になって¥マークのお面をつけたみなさんのところでアヴちゃんが「誰を生きたか忘れちゃった!」って歌うので痛快すぎるし、札束を追い求めるときにアヴちゃんが「どうやら全ては叶わない 叶わない」って歌うのだ。作劇と曲選びと演出が天才すぎる。
借金大王、借金重ねる友人についての歌詞で「このまま様子を見ていていいのかこっちがハラハラしちまう」というフレーズがでてくるが、舞台では「借金取りが借金負った息子の父親に絡んでいたらはずみで父親が頭を打って気絶してしまう。『殺した…?』と不安になりちょっと蹴飛ばすところで『このまま様子を見ていていいのか』。そんで父親が反応して生存がわかったところで『こっちがハラハラしちまう』」と絶妙に意味を変えて合わせてくるのが面白い