このこととどんなふうに関わるのか分からないのだけれど、四月一日は百目鬼に誕生日プレゼントを渡した際に彼とこんな会話も交わしている。
(四月一日)「‥‥射ろよ 危なくなったら迷わず射ろ それが何であっても」
(百目鬼)「おまえでもか」
(四月一日)「おれなら ‥‥尚更だ」
(中略)
(百目鬼)「また ‥‥選ぶんだな おれは」
(17巻P.171〜P.173)
これが事実四月一日自身を射ることになる伏線なのか、例えば「戻」4巻のラストで名前が出て来た「次元の魔女」を射ることへの伏線なのか、その辺りは分からない。のだけれど、とにかく物語は侑子が帰ってくるか来ないかというより、帰ってこないのは動かない前提であり、成就しない願いを抱え続ける四月一日がこのまま生き続けるのか、それともそれを百目鬼が終わらせるのか、という方に軸足を移しているような気がする。
確信は持てないのだけど、百目鬼が卵を使う瞬間(すなわち百目鬼が四月一日の意志に反して、彼が侑子を忘れる未来を選択する瞬間)に、百目鬼と四月一日のどちらの願いが成就するかというのは、四月一日が「ひと」であるかどうかに掛かっているのでは?なんてことを思う。