ビジネスで成功するためにはSNSでバズることが要件となってしまったため、バズりを狙った企画や宣伝が精査されることなく濫発されるようになり、結果として壊してはいけないものを壊しまくっている、というのが現在進行形の社会の状況なのだろう。

どこまでが本人の意思によるものかはわからないけども、ちょっと前に三宅夏帆が『百年の孤独』をコスパがいい本としてTVで紹介したのを知ったとき、本の世界はひとつラインを超えてしまったのだな、と感じたのを思い出す。バズること=ウケのよさを狙うことで本末を転倒させてしまう、ということの象徴的な例としてあげてよいと思う。モラル崩壊を厭わない、もっと酷いものがこの社会にはたくさんあるわけだけども、目立たない=わかりにくいけど重要な一例ではあるはず。

もう少しわかりやすい例を出すと、隆祥館書店の取次糾弾ブログシリーズとかもそう。あれもウケ狙いに飲み込まれている。善悪敵味方をキレイに分けて、エモーショナルにコーティングすれば一丁あがり。

『百年の孤独』コスパよし説が愚の骨頂であることをついでに説明しておくと、あの本をコスパがよいと思えるのは読書家だけで、コスパというワードに反応するような層や、そもそも読書慣れしていない層に対しては、むしろ逆効果になる。だっておもしろくないもん、あの本。というか大多数の人間は本をおもしろいものとして思えないので。

コスパがよい!で大衆にウケようとしたのかもしれないが、その釣り方で釣られる層にとって『百年の孤独』はあまりにもコスパは悪く、ゆえに騙されたという感覚にしかならない。

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読書離れを止めたいのなら、真摯に本を、そして本を読むということがなんたるかを紹介することだよ。本を読むのは大変だし面倒だし読み終わったのにおもしろくなかったなんてこともあるけどね、ということをちゃんと説明しないとね。そういう負の面を誤魔化して嘘ついて楽しい楽しいアピールだけしても、詐欺にあったと感じてしまう人を増やすだけ。

『百年の孤独』がおもしろいと思えるのは、

・海外文学を読み慣れている
・海外文学のなかでもヘンテコなものを読み慣れている
・わかんねー!となることが好き
・代わりに読まれたことがある

などなどの条件をひとつもしくはすべてクリアしている者だけだよ。名作と言われている本のほとんどはおもしろくないのだよ!難解で意味わからんから名作というほかない!みたいなことだったりするからね!

ちなみに大多数がたのしく読める本は字が(少)ない本だよ!『たぶの里』とかね!こういうのをコスパがよいと判断するかどうかはわからんけど!だからコスパという尺度自体が本との相性悪いよね!

takutaro.com/tapunosato/tamesh

コスパ、バズり、アテンションエコノミー。我々はそれらとどう距離を取るかを考えなくてはならない。はたらかないでたらふく食べたい。

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