続き。(えっ?もうひと月経ったの?確定申告という時空の歪みよ…)
観ながら脳裏を掠めたのは萩尾望都「金曜の夜の集会」。消滅を避けるために年に一度過去へ逃げる町。少年少女が約束した明日は永遠に来ない。端正なSF短編。萩尾望都の世界に諸星あたるはいない。同じ設定ながらラムの夢という起点が与えられ、時空を超越する諸星あたるが存在するだけでこんなにも物語は甘やかでスチャラカになるものなのか。
そう、諸星あたるは時空を超越する。そもそも夢は時系列を無視するものなので当然なのだが、あたるが渡り歩く夢のひとつに映画版完結編の鬼ごっこが挟まれるのだ。長いこと2(本作)と完結編は対だよなぁと思ってきたのはこの1シーンの断片だったのか(理由を忘れ去って久しかった)。こうなるとやはり完結編が観たい。なぜセットで配信にならんのか。
この断片だけでセットとするのは半ば強引であろう、と思っていたのも束の間、これまた諸星あたるにガツンとやられる。選択肢のない中での選択を愛とは呼ばない。強制力が働く中でのそれは恋愛ではない。凄いな、諸星あたる。言葉にしないことで愛を叫ぶ男。これ、完結編のテーマと同じだ。やはり2と5は対。
およそ40年ぶりのBD、どれだけ自分の核(コア)となっていたのか、と思い知らされたのだった。
と、締めかけて何か、何かが引っかかる……。相手への想いを口にしないことで最大限の愛を叫ぶ男と決してその側を離れない女……獠&香!ああ、冴羽獠の既視感だったのか。諸星あたる、ハードボイルドな男子高校生である。(フェードインするGET WILD のイントロ)