最近、週に一度オンラインで集まって『罪と罰』を一章くらい輪読するという悠長な遊びをしている。楽しい。
昨日読んだところでは、ラスコーリニコフの妹の婚約者、鼻持ちならない成金のルージンが語る1860年代ロシア社会の進歩論に興味を引かれた。
「(略)たとえば、今日まで『隣人を愛せよ』と言われておりましたが、もしわたしがやたらに他人を愛したとすれば、その結果はどうなったでしょう?」
「その結果は、わたしが上着を二つに裂いて隣人に分けてやる、そして二人とも裸になってしまうのです。つまりロシアのことわざでいう『二兎を逐うものは一兎をも得ず』というあれですな。ところが科学はこういいます──まず第一におのれ一人のみを愛せよ、なんとなれば、この世のいっさいは個人的利益に基づけばなり。おのれ一人のみを愛すれば、おのが業務をも適宜に処理するを得、かつ上着も無事なるを得ん、とこうです。」
(続)
『罪と罰』の前に『吾輩は猫である』を読んでいたせいで、どうしても成金ルージンがあの金田に重なる。ルージンも子分に手間賃をやって垣根の外でラスコーリニコフの悪口を言わせたりするかしらん
なーにが無事な上着じゃ着ぶくれしやがってばーたればーたれ。赤ステテコ