Googleは独禁法裁判を戦っていますが、裁判の内容が公開されないよう手を打ちました。同社に不利な情報はほとんどメディアに流れません。Meta社は最近、青少年への性的脅迫のプラットフォームとしてInstagramが悪用されているとして議会で質問攻めにありました。Appleにも独禁法の適用が噂されています。
EU圏でも、米国企業への巨額罰金命令の判決が相次いでいます。
イーロン・マスクのX/Twitterでの"ご乱行"は日本でも有名ですが、これは一連の摩擦の一部と位置づけられます。実のところ、イーロン・マスクが突出して「おかしい」とまではいえない。他のテック界隈のエリートたちも考え方はマスク氏と大差ありません。マスク氏ほどにはボロを出していないだけです。
GoogleやMetaが作り上げたインターネット広告のエコシステムは、世論操作や詐欺の温床となっています。彼らは私たちの個人情報を驚くほど精密に把握しており、年齢、性別、趣味嗜好、思想の傾向など機微情報を活用してターゲット広告を表示してきます。
X/Twitterのアルゴリズムは人々を分断させ対立を煽るよう機能します。Facebookでは逆に「政治的な話題を目立たせない」ようアルゴリズムが調整していると言われています。
私たちはデジタルプラットフォームに翻弄され、民主主義の行方は危うくなっています。一方、テクノロジー企業は政府の規制に反発し、放任を求め続けています。
以上のようなストーリーが目新しく感じる人もいるでしょう。逆に聞き飽きたと思っている人もいるかもしれません。
ひとついえることは、これは「私たち全員に関わる問題である」ということです。
民主主義がテクノロジー企業のプラットフォームで歪められているとしたら? そして世界が一握りのテック富豪=テクノ封建領主が専制君主のように振る舞う「テクノ封建制」に向かっているとしたら? 自由な市場は問題を解決できず、むしろ助長しています。
私たちになにができるのか?
少なくとも、私たちはまず問題を把握して、思考する必要があると思っています。