「テクノロジーと民主主義は緊張関係にある」
上記の命題を見て、どう思いますか? おそらく、日本語圏と英語圏では温度差があります。
PayPal創業者でFacebookの初期投資家であるピーター・ティールは、「私はもはや、自由と民主主義が両立可能だとは考えていません」と述べ、トランプ支持に走りました。
Netscape創業者でベンチャーキャピタルa16zの創設者マーク・アンドリーセンは「西洋のテクノロジーのチャンピオンであるアメリカ合衆国は、自己への懲罰をすることを決めました。両政党とその選出された代表者は、できる限りの方法でアメリカのテクノロジー産業を徹底的に攻撃しています」と語ります。
シリコンバレーのエコシステムで成功したテック富豪たちは、いまや民主主義で運営される米国政府による規制を敵視するようになっています。
おそらく、日本語のメディアを見ているだけでは、このような緊張はほとんど伝わってこないと思います。
英語圏メディアでは、毎日のようにBig Tech(Google、Meta、Apple、Amazonなど)と社会との摩擦のニュースが流れています。BloombergやロイターやWSJは日本語版もあるので、これらを集中的に見ていればある程度把握出来ると思います。
私たちはデジタルプラットフォームに翻弄され、民主主義の行方は危うくなっています。一方、テクノロジー企業は政府の規制に反発し、放任を求め続けています。
以上のようなストーリーが目新しく感じる人もいるでしょう。逆に聞き飽きたと思っている人もいるかもしれません。
ひとついえることは、これは「私たち全員に関わる問題である」ということです。
民主主義がテクノロジー企業のプラットフォームで歪められているとしたら? そして世界が一握りのテック富豪=テクノ封建領主が専制君主のように振る舞う「テクノ封建制」に向かっているとしたら? 自由な市場は問題を解決できず、むしろ助長しています。
私たちになにができるのか?
少なくとも、私たちはまず問題を把握して、思考する必要があると思っています。