"私たちがいま選択した事態は、日本という国すら無くなっているかもしれない未来の人々に深刻な影響を与えるかもしれない。そうした未来に対して責任があると言うためには、もっと根源的なところから責任を説明しないと現実的な思想にならないとヨナスは考えました。"
そしてヨナスは、未来について思考するにはSF(サイエンス・フィクション)の想像力も必要だということを言っている。例としてハクスリー『すばらしい新世界』を挙げている。
テクノ楽観主義に言わせれば、「未来を心配するな。テクノロジーの進化がすべてを解決する」ということになるのだけど、このような言説は20世紀以降の巨大な問題がテクノロジーの進化に伴って出てきたことへの「故意の無知」といえる。私たちは、未来への責任を考える思考の枠組みと言葉が必要だ。つまりテクノロジーの進化に対応した新しい哲学、倫理学が必要だ。
参考文献
ハンス・ヨナス、『責任という原理——科学技術文明のための倫理学の試み』、東信堂、2000年
補足として
参考文献(続き
戸谷洋志、『原子力の哲学』、集英社e新書、2021年
戸谷洋志、『未来倫理』、集英社e新書、2023年