「これらの一般的なアイデアに、より精密な分析を最初に与えた栄誉は、クロード・ベルナール(1878)に属する。彼は、複雑な組織を有する動物においては、生ける部分がそれを浸す液体の中に、すなわち血液とリンパ液の中に存し、その液体が ”milieu interne” ないし”intérieur”——内部環境、あるいは我々が体の液質(fluid matrix)と呼ぶものを構成している、と指摘した。この液質は生命体自身により作られ、制御される。そして生命体がより独立して、外部世界の変動から自由になるにつれ、外部環境のシフトにもかかわらず自身の内部世界を画一に保つことによってそうするのである」p.400.
ベルナール引用文「自由で独立した生命の条件は、『内部環境』の固定性である。あらゆる生命メカニズムは、それらがどんなに様々であろうと、ただ1つの目的、内部環境における生存条件を恒常的に保つという目的を持っている」p.400.
「<ホメオスタティックな調節に関するいくつかの仮定(postulate)>…
1. 『我々の体が表しているような、不安定な素材から成り、持続的に撹乱条件に従属している開放システムにおいては、恒常性がそれ自身で、この恒常性を維持するために主体(agency)が働くか、あるいは働く準備ができていることの証拠である』[??]…
2. 『もしも状態が定常的であるなら、そうなるのは、変化へのいかなる傾向も、変化に抗する因子・諸因子の効果が増大することによって自動的に対処されるからである』…Y. ヘンダーソン(1925)が述べたように、均衡の生理学的概念と化学的概念はかなり異なっている。『一方は自らを維持するエネルギーを、あるいはそれが妨げられれば回復させるエネルギーを呼び起こす…他方は均衡を追求して、ダイナミックに丘を下るだけである』。
3. 『一方の方向に動くことで定常状態を維持しようと働くどんな因子も、同一点で逆方向にも動くことはない』…
4. 『ホメオスタティックな主体は、体のある領域では拮抗的で、別の領域では協調的であるかもしれない』…
5. 『ホメオスタティックな状態を決定する調節システムは、同時あるいは続いて作用する多くの協調的因子を構成するかもしれない』」pp.424-6.→
「<ホメオスタシスの定義>… …『均衡』という用語がこれらの不変の条件を指し示すのに用いられるかもしれない。しかしながらその語は、既知の諸力が釣り合っている閉じたシステムにおける、比較的単純な物理-化学的状態に対して適用されるのがぴったりの意味を持つようになってきた。…今の議論は、不変性を得るための物理的よりもむしろ生理学的な配置に関わっている。体における定常状態の大部分を維持している協調した生理学的反応は非常に複雑で、また生ける組織にとって非常に特異なものであるので、これらの状態を特別に指示するもの——ホメオスタシスを採用することが提案された」p.400.