Fredericq(1885年)「生き物とは、各々の不安な影響がそれ自身により、不安を中和ないし修復する代償行動を呼び起こすような種類のエージェンシーである。生き物の階梯が高度になればなるほど、ますますこれらの調整エージェンシーは数が多くなり、完全になり、そして複雑になる。それらは生命体を、環境で起きる望ましくない影響と変化から完全に解放する傾向がある」
Richet(1900年)「明らかに矛盾しているが、生き物がその安定性を維持するのはただ、興奮しやすく、外的刺激に従って自身を修正して刺激に対し反応を調整できる時のみである。ある意味で生き物は、修正可能だからこそ安定している——わずかな不安定性が、生命体の真の安定性の必要条件なのだ」p.399.
「<ホメオスタシスの定義>… …『均衡』という用語がこれらの不変の条件を指し示すのに用いられるかもしれない。しかしながらその語は、既知の諸力が釣り合っている閉じたシステムにおける、比較的単純な物理-化学的状態に対して適用されるのがぴったりの意味を持つようになってきた。…今の議論は、不変性を得るための物理的よりもむしろ生理学的な配置に関わっている。体における定常状態の大部分を維持している協調した生理学的反応は非常に複雑で、また生ける組織にとって非常に特異なものであるので、これらの状態を特別に指示するもの——ホメオスタシスを採用することが提案された」p.400.
「<ホメオスタティックな調節に関するいくつかの仮定(postulate)>…
1. 『我々の体が表しているような、不安定な素材から成り、持続的に撹乱条件に従属している開放システムにおいては、恒常性がそれ自身で、この恒常性を維持するために主体(agency)が働くか、あるいは働く準備ができていることの証拠である』[??]…
2. 『もしも状態が定常的であるなら、そうなるのは、変化へのいかなる傾向も、変化に抗する因子・諸因子の効果が増大することによって自動的に対処されるからである』…Y. ヘンダーソン(1925)が述べたように、均衡の生理学的概念と化学的概念はかなり異なっている。『一方は自らを維持するエネルギーを、あるいはそれが妨げられれば回復させるエネルギーを呼び起こす…他方は均衡を追求して、ダイナミックに丘を下るだけである』。
3. 『一方の方向に動くことで定常状態を維持しようと働くどんな因子も、同一点で逆方向にも動くことはない』…
4. 『ホメオスタティックな主体は、体のある領域では拮抗的で、別の領域では協調的であるかもしれない』…
5. 『ホメオスタティックな状態を決定する調節システムは、同時あるいは続いて作用する多くの協調的因子を構成するかもしれない』」pp.424-6.→
「ホメオスタティックな調節の2つの一般的なタイプは、定常状態が<供給>であるのかそれとも<過程>であるのかによって区別される」p.403.