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エリザベス・ストラウト『私の名前はルーシー・バートン』、すごくすごく良かった。

「私」が経験した過去の様々な出来事の回想が、ばらばらな時間軸で語られる。言ってしまえばそれだけなのに、めちゃくちゃ好きだ。
交わした会話の引っ掛かり、忘れがたい感情、今も残るその感覚。今となっては曖昧な、しかし確かな感触を伴う記憶の断片の積み重ね。

人生における些細な記憶や感情は自分の裡にだけあるもので、それを言葉にしたり残したり誰かと共有するわけでもなく、しかし消えたりはせず、ふとした瞬間に記憶が鮮やかに浮かび上がってくる。
読んでいる最中は物語と並行して、自分の裡にもある、今は沈んでいる感覚をずっと探っていた。

10月に買った本。

アフガニスタンの女性作家たち18名による短篇集『わたしのペンは鳥の翼』は、作家たちが虚構の物語にのせた現実の苦難とその表現に衝撃を受けた。
今年2月にイギリスで出版されたこの本が今日本で手に取れることに感謝。
23篇の作品はもちろん、このアンソロジーをめぐる経緯と2021年のタリバン支配前後の女性作家たちの状況も詳しく記した序文と後記、古屋美登里さんの訳者あとがきも含めて、作家たちと同時代に生きている今この時に、広く読まれてほしい。

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