『このホラーがすごい!』、今だと国内編のランキングは特定のジャンルホラーが席巻しているのかな?と思っていたら、1位は小田雅久仁『禍』で斜線堂有紀 『本の背骨が最後に残る』もかなり上位、貴志祐介『梅雨物語』や高原英理『祝福』などもランクインしていて、自分の勝手な想像とはかなり違っていた。
私は3位に入っていた北沢陶『をんごく』が最近読んだ国内ホラーの中では一番好きだった。
物語も登場人物もその心情もすごく端正な描きぶりで、ゾワッと恐いシーンもグッと気持ちが高まるシーンも良くて。
何より、人の営みと祈りや妄執が生む怪異と民俗が、ちゃんと真っ当に描かれているホラーが読めて嬉しかったんですよ。
ところで『をんごく』は作中に出てくる「ある存在」のことを、あらすじ紹介でネタバレしているけど、良いのだろうか……。そこに惹かれて読みたくなる側面もあるだろうけれど、私はできれば知らずに読んで驚きたいな。
発売時にスルーしてしまったマネル・ロウレイロ『生贄の門』(宮崎真紀 訳)と彩坂美月『double 彼岸荘の殺人』も、『このホラーがすごい!』の影響で読みました。
『double 彼岸荘の殺人』はしっかり謎解きがあるタイプのホラーミステリだったけれど、ものすごく積極的に物理的&精神攻撃をガンガン繰り出してくる「幽霊屋敷」「怪物屋敷」っぷりが凄かった。
そして幼馴染の女性2人の物語でもあって、ラストの選択と結末は別に悪いわけではないが2024年の新作で見たいのはコレじゃないんですよーーー!!
「異能」を持つ人間の選択と生き方と関係性に対して、どうであれ2人がこの世界を共に歩んでいくような物語が必要なんですよ!!とどうしても思ってしまう。
今年は春以降、『文學界』や『MONKEY』、『文藝』、『ダ・ヴィンチ』でもホラーの特集が組まれていてすごく楽しい。夏本番に向けてまだまだ続いてほしい〜!