『このホラーがすごい!』、今だと国内編のランキングは特定のジャンルホラーが席巻しているのかな?と思っていたら、1位は小田雅久仁『禍』で斜線堂有紀 『本の背骨が最後に残る』もかなり上位、貴志祐介『梅雨物語』や高原英理『祝福』などもランクインしていて、自分の勝手な想像とはかなり違っていた。

私は3位に入っていた北沢陶『をんごく』が最近読んだ国内ホラーの中では一番好きだった。
物語も登場人物もその心情もすごく端正な描きぶりで、ゾワッと恐いシーンもグッと気持ちが高まるシーンも良くて。
何より、人の営みと祈りや妄執が生む怪異と民俗が、ちゃんと真っ当に描かれているホラーが読めて嬉しかったんですよ。
ところで『をんごく』は作中に出てくる「ある存在」のことを、あらすじ紹介でネタバレしているけど、良いのだろうか……。そこに惹かれて読みたくなる側面もあるだろうけれど、私はできれば知らずに読んで驚きたいな。

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宮部みゆきの三島屋百物語シリーズも、人間の営為と民俗と怪異が真っ当に描かれていると信頼できるから好き。
最新作の『青瓜不動』が『このホラーがすごい!』ではあまり選ばれていなくて、ちょっと悲しい。巻数の長いシリーズ物はランクインしにくいのかな。三島屋シリーズは江戸時代版の怪物屋敷やゾンビパニックのお話なども必見だから読んでほしい〜。
ただ語られるお話にグッとくる一方で、「まあ江戸時代が舞台だし……」と諦めつつも階級や性別における規範の前提が苦しくなる時も正直ある。

発売時にスルーしてしまったマネル・ロウレイロ『生贄の門』(宮崎真紀 訳)と彩坂美月『double 彼岸荘の殺人』も、『このホラーがすごい!』の影響で読みました。

『double 彼岸荘の殺人』はしっかり謎解きがあるタイプのホラーミステリだったけれど、ものすごく積極的に物理的&精神攻撃をガンガン繰り出してくる「幽霊屋敷」「怪物屋敷」っぷりが凄かった。
そして幼馴染の女性2人の物語でもあって、ラストの選択と結末は別に悪いわけではないが2024年の新作で見たいのはコレじゃないんですよーーー!!
「異能」を持つ人間の選択と生き方と関係性に対して、どうであれ2人がこの世界を共に歩んでいくような物語が必要なんですよ!!とどうしても思ってしまう。

今年は春以降、『文學界』や『MONKEY』、『文藝』、『ダ・ヴィンチ』でもホラーの特集が組まれていてすごく楽しい。夏本番に向けてまだまだ続いてほしい〜!

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