「今」を置き去りにすることも後れることもないのだろうと思う。
翻訳物が好きなので翻訳がもたらす共同性についての言及もよかった。ロシアに留学し、「ピッピ」を読んできた人と出会い、国が違っても同じものを読んで育ってきたこと、そこから得るものの共同性と慕わしさ、他者を知るきっかけとしての翻訳文学の可能性に自分はしびれるような喜びを覚えました。
本編中、読んでいる自分すら忘れられるような作品に出会えると嬉しいよねという読書の嬉しさを語る場面があり、うんうん頷きながら読んだが、この本もその忘我の一冊になるものだと言いたい。