ことほど左様に、「欧州」の形成にはイスラム文明が混交している。
であるから、今の欧州の一般言説のように、パスレティナ問題や中東問題一般を「文明の衝突」とするハンチントン的なフレームは議論を「トンチンカン」にする効果しかもたない。
日本でも「イランが核兵器をもっている」と思い込む御仁さえいるくらいである。実際は、中東ではイスラエルだけが核兵器をもっている。
結局の所、問題の99%は「リベラルな国際秩序」を自称する欧米帝国主義と中東地域の「力」関係に拠る。
しかし、欧米言説では最近ようやく「植民地主義 clonialism」という言葉は使用するようになったが、「帝国主義 imperialism」の解釈格子を使うことはまずない。
また欧州のリベラルは19世紀の半ばになってようやく「奴隷制」廃止に踏み切ったが、それは同時に「奴隷制」が残存しているアフリカ・中東を「文明化」する大義名分となった。ここは注意が必要。
ところで、現在の中東情勢を「逆ハンチントン」的になんでも「文明の衝突」で説明しようとする京都の大学教授がいるが、これは明らかに誤り。
たしかに欧米メディアのエルドアン叩きは操作されたいるが、さりとて、エルドアン側の主張を鵜呑みにはできないのである。