「記憶の非対称性」
1961年の仏警察・警視総監M.パポンによる「アルジェリア人殺し」は、アルジェリア人や仏のマグレヴ系の人であれば、誰でも「知っている」。
ところが、近年まで(でも)「白いフランス人」は、この事件を知らない人が多かった。
植民地主義による、この「記憶の非対称性」、これは日本と朝鮮半島の関係にかなり相似的。
1961年の事件に関して言えば、仏側から見れば「独立」を容認していないので、「ムスリム系フランス人」。
であるから、ムスリム系市民にだけ「夜間外出禁止令」を出し、それに対するパリにおける平和的抗議デモ数万人に対して、仏警察は攻撃を行った。
「保護国」であったモロッコ、チュニジアと違い、アルジェリアは1830年に仏によって植民地化され、法行政的には「フランス」と分類してきた。
(ちなみに「リベラル」がやたらとありがたがるトクヴィルはアルジェリア征服を賞賛。日仏のトクヴィル研究者、この点をほぼ「排除」している。)
100年以上「フランス」として、現地住民から収奪した土地に仏・西から移民を導入。いわば「満州国」が100年続いて「独立」問題に直面したようなもの。
カミュのようにアルジェリアで生まれ育った人間も多い。従って、事態が「戦争」にまで縺れ込んだ。