「代議制が元来もっていた独裁傾向」についての補足。
代議制=議会、あるいは「責任内閣制」は元来18世紀の英国で発達したもの。
まず、この時点では人口の99%は「有権者」ではないから、大地主・金融業者、それに貴族「貴族院」の寡頭制支配。
また元来英国では議会は最高裁であったため、司法との分立という観念がなく、従って長らく「違憲立法審査」という制度もなかった。この点、「直系相続」の禁止と合わせて英と米の主要な違い。
国王チャールズ1世の有罪・処刑も「議会」が採決。
また英国では仏・独的官僚組織が小さい。ただし、大蔵、外交、軍事は別。
さて、日本は言えば、農協、日本医師会、特定郵便局長を三大支持基盤とする自民党が与党に座り続けることで、中央・地方間の格差の調整が行われて来た。
また実際の法案作成は当該案件の官庁が行うため、首相が仮にウルトラ自由主義者であったとしても、官庁がサボタージュすれば、実質的には実現できない。
この状況を変えたのが、小選挙区制の導入と「行政改革」による省庁再編・2001年の内閣府設置・事務次官連絡会議の廃止です。
まず小選挙区制によって党の公認を得られなければ当選できなくなったため、自民党候補者は地元有権者ではなく、党首とその取り巻きの「顔」を忖度するようになる。
また内閣府の設置、事務次官連絡会議の廃止によって、内閣府による霞ヶ関への「支配」がより貫徹するようになる。
「閣議決定」とはつまり「事務次官連絡会議」の廃止、官僚の内閣府への従属を意味する。
ただ、この事務次官連絡会議、別に法令に定められたものではなく「慣例」。
従って手続き論としては、議院内閣制である限り、「閣内一致」は当然のことなので、近年の「閣議決定」のメディアでの「垂れ流し」は??となる。
実質上の効果は、「閣議決定」と報道することで、「既成事実」となったいう印象操作。
勿論、制度上は国会で審議・採決されてはじめて法案になる。
また国会の会期は決まっているので、審議が遅れれば「継続審議」となり、次も成立しなければ廃案。
特に1月に始まる通常国会は予算案を通すことが最優先事項なので、ここでもたつけば「継続審議」となる法案も増える。
自民党関係のスキャンダルがリークされるのは1月―3月に集中するのもこれが背景。
リーク元は実は安倍政権に冷遇された官庁であることが多い。
現在の総務省案件もその構図。
安倍の際は「経産・公安」府と呼ばれるほど両省の影響力が大きかった。
つまり、かつての形式上の「横並び次官連絡会議」より、内閣府に食い込む官庁がより優位になる体制(現在も)。