少しアップダウンのある道を越えて最後の階段を降りていくと絶景、通路の手前も開放感のある眺め。この駅が話題になるのも、整備するのも良くわかる。
ちなみに湖上駅には少し急な斜面に2階建ての小さなロッジ風の建物が建っていて、うち1階にはカフェメニューを供する小さな売店が入っている。2階の展望スペースとともに座席は自由。ここで半日ぐらいぼんやりしながら景色と列車の往来を楽しむのも乙だと思う。
惜しむらくは売店の営業日がはっきりしないこと。前夜の星空列車運行時は夜間にも関わらず営業していたが、この日曜の日中はクローズ。まあ冬季は井川線自体がシーズンオフということなので、前日が望外の幸運だったのかもしれない。
鉄橋の上を歩いて待つこと5分、井川から下ってきた列車に乗って、本日3回目の長島ダム駅を目指す。
で、バス停まで戻って更に接続路を歩き始めたらまたこの眺望である。何故このレベルの人出で済んでいるのか理解に苦しむが、空いているのはありがたい。しばし佇んで絶景を堪能した。
元々寸又峡観光というノウハウがあった上での長島ダムの完成に伴う鉄路再整備だった。景勝地における観光のツボを抑えているのかもしれない。この辺りは樹木もないから、中部電力か川根本町がそのように整備しているのだろう。鉄橋への案内標識も分かりにくいところには追加で掲示されていた。
そう。大井川鐵道で感心したのが、駅員から乗務員まで皆徹底して「どちらまで行かれますか?」の声かけを欠かさないことだった。南アルプスの南端からはなんとか外れているとはいえ、場所によっては携帯各社の電波が入らない立地である。接遇満足度の向上以上に、万一の事故を起こさないように、ということなのだろう。
当該区間を過ぎたら専用機関車を切り離し、再びディーゼル機関車のみで山道を進む。大体時速20kmあるかどうか。元々ダム建設に関連して中部電力が敷設した路線だが、本当によくこんなところに線路通したな、という地形が連続する。峡谷に鉄橋を架け、可能なところは素掘りして隧道を穿ち、あるいは尾根の終わり、切り立った先をなぞるように迂回して進む。あっという間に白緑の水面は下に遠ざかり、木々に阻まれ見えなくなる。代わりに遠くの山々まで見渡せるようになれば、終点の井川まであと少しだった。
お茶好き校正マン。ソシャゲ(主に女子向け)、読書と運動、時々公共交通機関旅(47都道府県の地を踏んだ)、美容、おいしいもの、医療制度、ちょっとだけサーバーとかアプリケーションとかシステムとか、美術館博物館劇場音楽。と、興味爆発雑多鍋の様相です。他鯖のアカウントはリストからどうぞ。