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『THINK BIGGER 「最高の発想」を生む方法』(シーナ・アイエンガー)

私たちは何を求めて「最高の発想」のための本書を手に取るだろうか? 一言で言えば「課題を解決するため」だ。では「課題」とは? 本書はつまり「課題」を特定し、解決するための手法を教える本だ。
発想を生むためのプロセスは次のようなものだ。本書は課題を「サブ課題」へと分割せよと説く。サブ課題を解決することで叶えられる望み(私の望み、当事者の望み、第三者の望み)を比較する。この望みとは、困りごとと言い換えてもいい。そのための既存の解決手法(=選択肢)を、業界の内側と外側の両方から探す。既存の選択肢同士を掛け合わせ、新しい選択肢を生み出す。ゼロベースの発想ではない点がポイントだ。最後に、第三者からの目から見て「課題」を評価する。
ノウハウとしては、課題に対して具体化・抽象化を繰り返すことで「意味があるほどには大きいが、解決できるほどには小さい課題」に落とし込む、選択肢は5±2に絞る、アイデアは量より質(ただし、量を出した後に粘り強く考え続けることでしか質に辿り着けない)、等々。
本書のエッセンスは、究極的には添付の一枚の図だ(pp. 60-61より引用)。

脇に逸れるけど、私の前職は特許事務所での技術者で、クライアント企業の発明者から生まれた発明(=アイデア)を「解決したい課題」「課題を解決するための解決手段」「解決手段が奏する有利な効果」に分解する訓練を受けていた。この訓練は私の創造性を養った気がする。つまり、発明(=アイデア)とは、課題ファーストであって、課題を解決するための解決手段を見つけることであると叩き込まれた。そして、解決手段とは、往々にしてゼロから生み出されたものではなく、既存のアイデアの組合せである、とも多くの発明を扱うことで経験的に理解された。
もの作りに携わったことのある人なら誰でもそういう経験はあると思う。そういう経験知がより精緻に、より深く踏み込んで、より具体的に説明されていた。最高の発想の再現性を高めていこう。

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