主人公が市販の教科書ではなく特許庁の審査基準に少しでも目を通していれば、審査官への反論の第一歩は、引用発明に対して有利な効果があるか、主引用発明と副引用発明を組合わせることに阻害要因があるかを論じていくことから始まることがわかったでしょう。上司が審査基準に誘導せずに部下である主人公に「やってみて」とやるのは、知財のお話としてフェアではない流れだと思いました。
作者は知財でありそうなケースをよく調べているし、教科書的な理解もしっかりエピソードに落とし込んでいる(フツーの人が読む分にはそれで構わない)が、きちんと監修を入れていればそういう細かい瑕疵が減ったのでは。