ダンジョン飯について書いておきたいんだが。 toot 向きではないが。まずプロップの物語分析に完全に乗っかっているんだよな。
http://www-h.yamagata-u.ac.jp/~aizawa/miscel/asano-propp.pdf
1. 家族の成員が家を留守にする:ファリンがロクトフェイトを唱えて脱出した瞬間とも言えるしそもそもライオスが家を出た瞬間でもある2. 主人公に禁を課す:ファリンの犠牲によるダンジョン脱出後に金も装備もなくなってまともな飯が食えなくなる3. 禁が破られる:センシの登場によってダンジョンで魔物を食い始める
実はここまででほぼ物語としては完結しそうだった。
ダンジョン飯のネタバレ もっと見る
4. 敵対者が探り出そうとする:狂乱の魔術師と絵の中で対峙5. 犠牲者に関する情報が敵対者に伝わる:炎竜の撃退6. 敵対者は、犠牲となる者なりその持ち物なりを手に入れようとして、犠牲となる者をだまそうとする:ファリンがシスルに呼ばれる7. 犠牲となる者は欺かれ、そのことによって心ならずも敵対者を助ける:ファリンのキメラ化
8. 敵対者が、家族の成員の一人に害を加えるなり損傷を与えるなりする:集合したライオス、シュロー、カブルーのパーティの壊滅9. 家族の成員のひとりに、何かが欠けている。その者が何かを手に入れたいと思う:ライオスやシュローはファリンを取り戻したい10. 被害なり欠如なりが〔主人公に〕知らされ、主人公に頼むなり命令するなりして主人公を 派遣したり出立を許したりする:第六層への突入
11. 探索者型の主人公が、対抗する行動に出ることに同意するか、対抗する行動に出ることを 決意する:ライオスはファリン探索継続を決断12. 主人公が〔贈与者によって〕試され・訊ねられ・攻撃されたりする。そのことによって主 人公が呪具なり助手なりを手に入れる下準備がなされる:翼獅子との接触13. 主人公が贈与者となるはずの者の働きかけに反応する:翼獅子の提案へのライオスの同意
14. 呪具〔あるいは助手〕が主人公の手に入る:翼獅子の力がケンスケを通じて手に入る15. 主人公は、探し求める対象のある場所へ連れて行かれる・送りとどけられる・案内される:翼獅子の案内によるシスルの家への到着16. 主人公と敵対者とが、直接に闘う:シスルとの戦闘
17. 主人公に、標(しるし)がつけられる:ファリン殺害
16. と逆転しているがここが最高に重要でファリンを窒息死させたときにライオスには血のしるしがつけられている。
18. 敵対者が敗北する:シスル撃退19. 発端の不幸・災いか発端の欠如が解消される:ファリン復活の目処がつく(ライオスが翼獅子の力を獲得)20. 主人公が追跡される:カナリア隊や迷宮の主人と化したマルシルから追われる21. 主人公は追跡から救われる:カナリア隊の追跡から一旦逃げ切る
22. 主人公がそれと気付かれずに、家郷か、他国かに到着する:マルシルの仮想の生家へ招かれる23. ニセ主人公が不当な要求をする:カブルーによるお願い(世界を救ってくれと言われる)
なぜカブルーがダンジョン飯に出てくるのか、というか、カブルーは非常に不人気なんだが、彼は物語理論上ニセ主人公として必要不可欠だった。
24. 主人公に難題が課される:翼獅子という形而上的な生物の撃退方法の考案でライオスが悩む25. 難題を解決する:翼獅子を食えばいいとわかる26. 主人公が発見認知される:ライオスと翼獅子の騙し合いの開始27. ニセ主人公あるいは敵対者(加害者)の正体が露見する:翼獅子の悪魔としての正体が明白になる28. 主人公に新たな姿形が与えられる:ライオスの悪魔化
29. 敵対者が罰せられる:翼獅子撃退30. 主人公は結婚し、即位する:ライオスが国王として即位、めでたしめでたし
ダンジョン飯は4段階あって、それぞれ敵がいる。第1段階ではそもそも飯をどう食うか、という話で基礎となる。第2段階では炎竜を倒す必要がある。第3段階ではシスルの撃退、第4段階では翼獅子の撃退となる。それぞれで入れ子のように作ってある。九井諒子は初の長編ということもあって編集者とともにかなり精密に作ったんじゃないかなあ。嫌な言い方だがどこで打ち切っても物語としては成立するようにできている。
最初に魔物を食っている話 (第1段階) が炎竜を撃退し (第2段階) その後のファリンとの戦闘で第2段階から第3段階に移行する際にみんななんだこれ、となったのはこの段階で打ち切れる構造になっているからで、そこはすごいな、と素直に思う。
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