そのような形でしつらえられているわけですから、この展覧会に関しては、個々の出展作家がどうこうというのは実際のところあまり問題ではないわけでして、宇陀松山地区という場所においてこの日(当方が見に行ったのは10月22日でした)同時多発的に展開されていた、あるいは展覧会の会期以前からあり以後もあり続けるであろうアレコレを見つけて味わうことが重要になってくるわけですね。
かような観点から見ると、個人的に気づきが実に多かったです。例えば、会場をひとしきり回ったあと、地区内唯一の(?)書店というか古書店な尚文堂書店にフラッと入ってみたら、年代物のラジカセから流れていたFM放送からMarvin Gaye(1939〜84)の”What’s going on”が聞こえてきたときには、ぇこれそういうサウンドアート? と思ってしまいました。知人に殺害されて人生を終えた丸木スマの作品に接したあとに、父親に射殺されて人生を終えたGayeの代表作を聞く形になったら、そのあまりの符合ぶりにWhat’s goin’ on? となることしきりですし
https://youtu.be/KDK7TiEiMOI?si=4ODC_ShpQDyhzjA8
「SEASON 2」とはいささか奇妙な展覧会タイトルですが、長谷川氏いわく
「前の方が良かった」とか「蛇足」だとか好き放題言われがちなドラマの「シーズン2」ですが、区切りのついた何かをもう一度始めることは、私たちの生活ではごく当たり前にあることです。ちょうどいいところで人生は終わってくれませんし、死んでもなお、終わりではない。(略)一方で、大人と子供、先輩と後輩、今日と明日──こうした「続き」は、オリジナルとコピーみたいな関係では決してない。それが「何かの続きであること」と「それ自体が固有の、かけがえのない存在であること」は全然両立する。だから、「VERSION 2」というよりも「SEASON 2」と言ってみたいのです。という認識が「SEASON 2」というタイトルにはこめられており、したがって、何か完結した体系を最初からひとつの完成体として提示することよりも、キュレーターの、出展作家の、(この展覧会の出展作家には数えられてないけど)同時期に地元でイベントを開催している人々の、そして何より鑑賞者たちの「SEASON 2」が交錯する場として考えられていると、さしあたっては言えるでしょう──《本展は、それぞれの「SEASON 2」が交錯する「全員途中参加型」の展覧会です》というステイトメントの一節は、それを雄弁に物語っている。
奈良県宇陀市宇陀松山地区で開催中(〜10.30)の「はならぁと2023 こあ」。毎年奈良県内各所で「こあ」「さてらいと」「あらうんど」といったクラス(クラス?)分けのもと同時多発的に開催されているはならぁとですが、外部からゲストキュレーターを迎えて展開される「こあ」では、今年はこれまで様々な展覧会をキュレーションしてきた長谷川新(1988〜)氏を迎えています。今回は「SEASON 2」展ということで、阿児つばさ(1991〜)、朝海陽子(1974〜)、丸木スマ(1875〜1956)、宮崎竜成(1996〜)、山本悠(1988〜)、ユアサエボシ(1924〜87)各氏のほか、山梨県立美術館に寄託されている「クローン文化財(ミレー《種をまく人》)」というラインナップでした。
なぜオルタナティブなアートフェアは有効なのか? 第3回ACKに見出す京都の可能性(美術手帖) https://news.yahoo.co.jp/articles/c8a7f9f072bf86aa328fd2319f0c35b66b50f7e5?source=sns&dv=sp&mid=other&date=20231029&ctg=lif&bt=tw_up
Q:《なぜ日本では、従来のアートフェアモデルよりオルタナティブなモデルのほうが受け入れられているのだろうか?》
A:「従来のアートフェアモデル」(←アートバーゼルとかのことでしょうか)をちゃんとやれるほど広大な見本市会場が日本に存在しないからです
──で終わってしまう話を延々引っ張られても、なぁ
浅田彰(1957〜)氏の『構造と力』が文庫化されるとかで当方の 上のTLが変な盛り上がりを見せてましたが、この前刊行40周年を迎えたので版元の勁草書房が特製の帯を作ったのに、それからほどなくして文庫化?→ https://www.keisoshobo.co.jp/news/n54326.html
当然のことながら当方は浅田氏と面識はないんですが、2010年にgalerie 16で京都造形芸術大(当時)の院生がグループ展をしたとき、アーティストトークの司会を買って出てたのを聴講したことはあり、確かに京造の大学院の院長(?)やってはるけど、そんな世に出たてのアーティストのためにMCしはるって、あの浅田氏が普通に先生してはる!?!?!? となったのでした
ちなみにそのときの院生とは神馬啓佑、極並佑、田中幹、桜井類、鷲崎公彦、寺村利規の各氏で、今でもなんだかんだで関西を中心にアーティスト活動を続けています
今度の会場は京都国立博物館 明治古都館。「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2024」開催決定 https://bijutsutecho.com/magazine/news/market/27988
2024.3.1〜3。長くメイン会場として使われてきた三条高倉の京都文化博物館旧館を離れ、京都国立博物館を使うそうで。文博旧館メインホール内に鉄パイプとかを組んで構造物を作り、ムリヤリ二階建てにしてたのにはいささか閉口したものですが、移転したらそんな危険なことしなくても良さそう? なおサブ会場となる京都新聞本社ビル地下一階(烏丸丸太町)も引き続き会場となるとのことです
村瀬秀信『虎の血 阪神タイガース、謎の老人監督』 https://www.amazon.co.jp/dp/4087901491
集英社から来年2月5日に刊行予定、¥1,980のこの本
タイガースの歴史上、「最大のミステリー」とされる人物がいる。
第8代監督・岸一郎。
1955(昭和30)年シーズン、プロ野球経験ゼロの還暦を過ぎたおじいさんが、突然、タイガースの一軍監督に大抜擢されて
一説には、「私をタイガースの監督に使ってみませんか」と、手紙で独自のチーム改革案をオーナーに売り込んだともいわれる
没年すら不詳という老人監督と、リンク先の概要を見てもパワーワードだらけで、気になることしきり
ガザを知る緊急セミナー ガザ 人間の恥としての(2023年10月23日) https://youtu.be/-baPSQIgcGc?si=_gGpZ7BkMMxoy12g
1990年代からパレスチナについての発言を続けている岡真理早稲田大学教授の講演が23日に東京で開催されたことは仄聞してましたが、主催者有志によって動画が公開されてるんですね。あとで見る [参照]
安藤忠雄が設計監修。うめきた再開発で文化施設「VS.(ヴイエス)」が誕生へ https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/27965
来年には完成し、こけら落としとしてライゾマティクスを率いる真鍋大度氏の個展が開催されるとのこと。そんな早くできるもんなん? と思いましたが、記事中の画像を瞥見するに既に工事がかなり進んでるんですね。うめきたにはあまり行かないので、あのあたりの進捗を見る機会がなく
レポート|「沖縄画 8人の美術家による、現代沖縄の美術の諸相」Text:白坂由里 https://artdiver.tokyo/archives/16158
2023.8.10〜20に沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館にて開催された「沖縄画 8人の美術家による、現代沖縄の美術の諸相」についてのレポート記事。同展のディレクターを務めた土屋誠一(沖縄県立芸術大学准教授)氏へのインタビューを交えた構成となっています。この記事が載っているART DIVERから来月刊行予定の記録集につながるものと位置づけられているとのこと。あとで読む。
(ところでこの展覧会の記録集、当初は今月刊行予定とアナウンスされてましたが、一ヶ月程度の遅れで済んでいるあたり、地味にすごい)
これまで当エリアは、独特のまちとアートの関係とその成熟の過程が注目を集め、様々な視点から多数の学術論文や各種メディアの取材記事などで言及されてきましたが、近年は周辺を取り巻く状況からその認識に隔たりを感じることも度々起きていますその最大にして最悪の事例が今年唐突に勃発したこの案件である↓
好事家、インディペンデント鑑賞者。オプリもあるよ♪