バキバキの体が肉襦袢着てるみたいですっごい居心地悪そう、そのうえいつも頬が上気している感、ちょっと気持ち悪い真面目な「みんなでずっと遊んでたいのに」なこどものせつなさ。フィルムの赤みの強い感じが「あの時代」の微熱感になり、それが彼の「居心地の悪い身体」にあるものとしてとてもよくあっていたと思う。ある時代のイメージ。ボワボワとした熱っぽさとぼんやりした感覚(ダーキンはいやーなズームとぼんやり映っているものを使うのがホントにうまい)があるのも「本物」性が生まれた理由なんだよなあ。あの人なら「家族ー!」以外のことは何もないであろうよ、という存在の悲しみと優しさ(不器用という光)を体現するには20代のピチピチではない彼だからこそよかったのだよなー。いや、良い俳優だなあ。見入っちゃったよ。
「悲劇の瞬間」をことごとく外し続ける作劇に挟み込まれたベストショットはやはりあの階段です。最強ゴースト映画!といいつつ、ただ路上の光が写っているだけのシーンの長さ。後ろでゆらめくのは流れ星かホタルか。終盤、決定的なことがあった後に家の扉から離れていくズームアウトとかもとにかくうまいなー、な映画でした。