#浪曲
【浪曲冬の陣】2023年12月23日(土)13:00~16:00@浅草木馬亭
浪曲協会主催の冬の企画興行。今回の目玉は、浪曲初の三題噺(1人10分)に3人が挑戦するというもの。落語の三題噺の場合は、当日の会場にいるお客さんからお題を叫んでもらって、演者の耳に止まったものを3つ選ぶ、というのが多いんじゃないかと思う。今回の企画では、先月から館内に設置してあった箱に客がお題を投函してきた。わたしも7-8個応募してあったのだが、なんとそのうちの2つを千春さんが選んでくれるという快挙(?)。こうなると楽しみが十倍増し!
三題噺のお題選び
柳一・一貴「忠治関宿落ち」
はる乃・美舟「将軍の母」
月子・明「徳川家康 人質から成長の巻」
~仲入り~
三題噺①千春・理緒「東家千春物語」(お題:紀文のカニカマ/ブラックホール/ゲリラ豪雨)
三題噺②恭太郎・美舟「思わぬ助太刀」(お題:万歳/トナカイ/暖冬)
三題噺③小ゆき・貴美江「小ゆきのしあわせ」(お題:アイスモナカ/山鹿灯篭/小ゆきのしあわせ)
琴美・明「人情芝居囃子」
柳一・一貴「忠治関宿落ち」
柳一さん、初めて聴いたけれどとてもよかった。節もしっかりして啖呵も堂々としていてとても前座さんとは思えない。ダミ声系ではない。また聴きたい。これは要注目だ。
はる乃・美舟「将軍の母」
はる乃さんはもう本当に安定の楽しさ。東京ドームでもマイクがいらないようなピーンと張った素晴らしい声&声量。見事な節回し。最年少浪曲師とは思えない貫禄すら感じさせる。なんといってもそのエンターテイナーぶりで、ぐいぐい客を乗せて引き込んでいく。本当に魅力のある浪曲師さんだなあ。美舟さんとの息もぴったり。ちなみに、今日は衝立がなかったので、曲師さんも全員よく見えてよかった。
月子・明「徳川家康 人質から成長の巻」
ベテランの見事さ。本当にお上手。でもやっぱり、はる乃さんのようなケレンがないというか、引力の強さみたいなのがわたしには働いてこなかったかな。
三題噺③小ゆき・貴美江「小ゆきのしあわせ」(お題:アイスモナカ/山鹿灯篭/小ゆきのしあわせ)
もともと新作派の小ゆきさん、一番楽しみにしていたが、お題の中に明らかに小ゆきさんに宛てたものがあって(山鹿灯篭/小ゆきのしあわせ)、それを選ばずをえない流れに。ギャンブルばっかの夫があるとき大金を当てた。豪遊&買い物に走りかけた夫の通帳を妻は隠し、10年後夫ががんの診断を受けたときに「実はわたしが隠していた」と打ち明ける。おや、まるで落語の三題噺として最も有名な「芝浜」のようだ、そっちに寄せたのか……と思いきや、誇張はあるものの小ゆきさんとご主人の実話だったらしい。それにびっくり。あと、「ちょっと時間が余ったので~」(ここももちろん節に乗せている)、小ゆきさん十八番演目の「ベートーベン一代記 歓喜の歌」からドイツ語で「歓喜の歌」を歌ってくれた。曲師の貴美江師匠もしっかりドイツ語でそれに合わせた弾き語りデュエット。いいもの見させてもらいました。
琴美・明「人情芝居囃子」
三代目団十郎の話。劇中劇なんかもあって、難しい一席なんじゃないかと思った。最近、琴美さんの魅力がちょっとわかってきた駆け出しファン。今日もご祝儀とかお菓子とかたくさんもらっていた。
演者はたいへんだろうけど、ぜひまたやってほしい。
浪曲の三題噺は、落語以上に面白いし難しいかもしれないと思った。曲師さんと即興で合わせる妙味。どこを節(歌)にして、どこを啖呵(セリフ)にするかという切り分けもあるし。