柳一・一貴「忠治関宿落ち」
柳一さん、初めて聴いたけれどとてもよかった。節もしっかりして啖呵も堂々としていてとても前座さんとは思えない。ダミ声系ではない。また聴きたい。これは要注目だ。
はる乃・美舟「将軍の母」
はる乃さんはもう本当に安定の楽しさ。東京ドームでもマイクがいらないようなピーンと張った素晴らしい声&声量。見事な節回し。最年少浪曲師とは思えない貫禄すら感じさせる。なんといってもそのエンターテイナーぶりで、ぐいぐい客を乗せて引き込んでいく。本当に魅力のある浪曲師さんだなあ。美舟さんとの息もぴったり。ちなみに、今日は衝立がなかったので、曲師さんも全員よく見えてよかった。
月子・明「徳川家康 人質から成長の巻」
ベテランの見事さ。本当にお上手。でもやっぱり、はる乃さんのようなケレンがないというか、引力の強さみたいなのがわたしには働いてこなかったかな。
三題噺③小ゆき・貴美江「小ゆきのしあわせ」(お題:アイスモナカ/山鹿灯篭/小ゆきのしあわせ)
もともと新作派の小ゆきさん、一番楽しみにしていたが、お題の中に明らかに小ゆきさんに宛てたものがあって(山鹿灯篭/小ゆきのしあわせ)、それを選ばずをえない流れに。ギャンブルばっかの夫があるとき大金を当てた。豪遊&買い物に走りかけた夫の通帳を妻は隠し、10年後夫ががんの診断を受けたときに「実はわたしが隠していた」と打ち明ける。おや、まるで落語の三題噺として最も有名な「芝浜」のようだ、そっちに寄せたのか……と思いきや、誇張はあるものの小ゆきさんとご主人の実話だったらしい。それにびっくり。あと、「ちょっと時間が余ったので~」(ここももちろん節に乗せている)、小ゆきさん十八番演目の「ベートーベン一代記 歓喜の歌」からドイツ語で「歓喜の歌」を歌ってくれた。曲師の貴美江師匠もしっかりドイツ語でそれに合わせた弾き語りデュエット。いいもの見させてもらいました。
琴美・明「人情芝居囃子」
三代目団十郎の話。劇中劇なんかもあって、難しい一席なんじゃないかと思った。最近、琴美さんの魅力がちょっとわかってきた駆け出しファン。今日もご祝儀とかお菓子とかたくさんもらっていた。
演者はたいへんだろうけど、ぜひまたやってほしい。
三題噺①千春・理緒「東家千春物語」(お題:紀文のカニカマ/ブラックホール/ゲリラ豪雨)
千春さんは年季明けしたばかり。しかも新作をつくるのは初めてだったらしい。でも、「これは自身の入門のきっかけを描いた実話です」などといいつつ、竹取物語を踏襲した楽しいお伽噺風の物語にお題をうまく絡め、とても楽しく可愛い一席だった。これで初めてならほんとに立派だ。終わって外でお客さんと話しているのを小耳にはさんだら、ほぼ眠れなかったとか。緊張したんだろうなぁ。お題を選んでくれたので、ちょっと挨拶させていただいた。近くで見ても本当に美人さん。
三題噺②恭太郎・美舟「思わぬ助太刀」(お題:万歳/トナカイ/暖冬)
これはあくまでわたしの想像だけど、恭太郎さんは「来そうなお題」を想定してしっかり一席作り込んできて、あとは今日選んだお題をそこに当てはめたという感じだった。だから、何のお題であっても、話の骨子は変わらなかったと思う。現に、ひとりだけメモに目を一切落とさなかったし。内容は忠臣蔵を下敷きにしたオヤジギャクとダジャレ満載のノリノリの一席。途中、おそらく美舟さんは知らないだろう「走れコータロー」なんかを唄いだしたりしたけど、美舟さんは即興でぴったーーーっとついていってすごかった。ついそっちばっか見ちゃったw