旅のきっかけと行き先をまず記しておく。COVID禍が始まると、連れ合いとふたり徹底して家に籠もった。プチ介護をしている身の上であり、連れ合いは重症化リスクある基礎疾患持ちだったから。ふたりともフリーランスで自宅が仕事場だし、元々が籠もり生活、あんまり変わらないよね、なんて言っていたのだけれど、旅ができなくなったのは大きかった。フォトグラファーの連れ合いとはその仕事の関係で1年に一度は海外に出掛けていて、それがあったから日常は家に籠もって平気というか、むしろ積極的に籠もってたんだなあと実感。最後の旅は2020年3月、メキシコ北西部からアメリカへ。ちょうどCOVID禍のはじまりの頃で、国境が閉まるかもしれないというニュースに慌てて帰国を早めた。その数日後にアメリカは大変な状況になり、九死に一生を得た思いだった。あれで戻れなくなって、日本大使館のお世話になるようなことになっていたら、非難の集中砲火を浴びただろうな。スピルバーグの映画『1941』にも出てきた観覧車で有名なサンタモニカピアも閉鎖(許可を取って撮影)。最後の夜、keep distancingでビール飲もうよ、と誘ってくれた友人とヴェニスの海岸を歩いて、さよならをした。コロナビールを用意してくるところが、ジョーク好きの友人らしい。