死の影がうっすらと作品全体を覆ってる印象を受けた。テスト走行中やレース本番の事故でレーサーが死に、事故に巻き込まれた人達も死んでいく。子供も死者の葬列に加えられる。
子供といえば、フェラーリと本妻ラウラの子供も本編開始の一年前に病気で命を落としている。
あまりに死の近くにいたせいか、アダム・ドライバー演じるエンツォ・フェラーリという男にはどこか死神じみたイメージが付き纏うが、ラストシーンで愛人との間に生まれたピエロの手を引き、死んだ異母兄の墓に向かう後姿から、不穏さと希望を同時に感じた。
なんとも釈然としないラストに思えるが、自分はそこがいいと感じた。
なお、そのピエロ少年がフェラーリ社の現在の副会長ピエロ・ラルディ・フェラーリである。