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「訴えてやる」などと迂闊に口にしない人間同士が、相手に合法的に不利益を与える手札を用意して交渉する有り様、年齢に応じて観測することはある。手札を示唆しないと圧力にならず、かといって手の内を晒すと対策され、相手の手札で困るか困らない自体も欺瞞を含めて小出しにするという腹芸、何かに似ていると思ったが、核戦略か。

「訴えてやる」みたいな捨て台詞ほど有害滑稽なものはないような。もしやるなら、黙って粛々と準備するべきだし、やると知れたら対策される。もちろんやらないなら単純にダサいし、ほどほどのところにとどまっているのを念のために完全殲滅されないとも限らない。

鹿肉がどんな味かと聞かれたら、トナカイみたいな味とこたえる。もちろんトナカイについて聞かれたら、鹿みたいと答えるが。まあやや臭みはあるが筋肉質で脂気少なめで歯ごたえがあり、歯が丈夫なら食いごたえがあってわるくない。

鹿と猪は食ったことがあるし、熊もあるが、雉だけはない気がする。

68歳とか遠い未来のような気がするし、そこまで長生きできる気もあんまりしないのだが、これから最短で子供ができたとして68歳のときはまだ大学も出ておらん。私のように浪人留年しなかったとしても、だ。配偶者は50そこそこ。まだ人生は長い。うかつに68ぐらいでは死ねない気はしてきた。むずかしいもんだ。

精神に異常を来していなかった時期はまったく思い当たらないが、学部新卒で入った職場で、「何億かあれば、仕事の設備装置一式を買って、それで人知れず練習したい」と漠然と思っていたのは、今思うとかなり異常を来していた。設備装置を手に入れて自分で商売するわけでも、技を磨いて稼ぎたいわけでもなく、単に職場の人間を驚かせたいぐらいの動機でしかなかったわけだ。

外国に持って行く手軽な土産として5円玉50円玉は穴が開いているのがめずらしがられるという話は聞いたことがある。先を結んだ紐に沢山通して銭形平次みたいにして持ち歩いたら、それこそ目を引きそうな。重いのが難点だが。

小説『銀河英雄伝説』、英雄を偉大に見せるためかそうでない連中(門閥貴族のドラ息子や同盟の腐敗高官など)があまりにも卑小に描かれているし、あまりにカリカチュアな娯楽作品ゆえに現実社会を語るのに持ち出すと笑われるのもよくわかるのだが、久々に引っ張り出してみると、こういう人間はまあいると思ったりもする。思ったからどうということはないが。

こねこのときは私が玄関先に来ただけでも、廊下に通ずるドアの前で待ちかまえていた実家のネコも、いつのまにかわたしが触ろうとするとテレビの裏に隠れるようになってしまった。なんもいじわるはしていないのだが、飽きられたか。

例えば、故意ではないまでも過失で人の家を火事にした人間が、命がけで消火に尽力したおかげで全焼を免れたとき、命がけで消火に尽力して全焼をさせずにくれたことに謝意を述べる必要があるのかはかなり疑問なのだが、田舎のムラで生き延びるためには感謝した方がよいっぽい。

漫画『攻殻機動隊』における択捉、突然素子がメガネをかけた二人組に唐突に斧で襲われ、すかさず皮膚の張り替えを売り込む客引きが現れた記憶ばかりが強い。あと古の戦艦の電子頭脳がロシアの超重戦艦ピロシキとの会戦を語るあたり。

長い学徒生活と一人暮らしの時代、徹底的なコスト削減のため(金銭のみならず、考える手間、準備や片付けの手間も含めて)食事を極めてシンプルにして毎日決まったものを食べていたが、人からはよく「飽きないのか」と不審に思われたものだった。そういう変化を求める人間は、毎日米を食って飽きないのか、毎日同じ硬度の水を飲んで飽きないのか、毎日同じ組成の空気を吸って飽きないのか、不思議に思ったりもしたものだが。

精神に異常を来したら何もわからなくなるわけではなく、精神に異常を来した後の世界を生きていると気づくものだし、乾坤一擲のすべてを賭した大博打に失敗したらすべて終わるのではなく、多くを失ったあとの暮らしが残るのであって、そうそう、わからなくなったり終わったりはしないものではある。良いことなのか悪いことなのかは知らんが。

自宅に籠城する事態に備えて、消耗品は多め、何もせずに食べられる保存食はしこたま保管しているが、やはりボトルネックは水だ。水道が生きてるなら1ヶ月2ヶ月は軽く籠城できるが、水道がないといいところ2週間だろうか。

自分を破れ草履のように踏みつけにした事業者に対して、どう報復するかみたいな話、それ自体は被搾取者の憂さ晴らしの与太話として必要なことだとはわかるが、火や水で事務所が壊滅したとしても、あった書類も元々なかった書類もすべて「滅失した」と強弁する利便性を与える気しかしない。

別の親類が「巧妙な手口」によりネットバンキングからカネをとられたことがあったが、「コンピューターが危険にさらされている」「コンピューターのパフォーマンスが低下している」「ファイルの整理が必要」などとして提示される謎のアプリを悉くインストールしてきた親類のことを考えると、「巧妙な手口」とやらが実際どんなもんだったのか気になってきた。

親類が「調子がおかしい」として示したタブレット、広告で提示されたアプリをすべてよくわからないままインストールしているらしく、常駐が極端に多くで挙動が異常に遅く、通知が機関銃のように訪れ、ニュースの閲覧にしか使ってないから個人情報などは取られてないにしてもあまりの状態に腰を抜かした。

経営学には商学研究科時代にそれなりに触れて、失敗に関する様々な研究に大なり小なり既視感があり、それがどこにでもありふれたことだとわかったが、わかったところでどうしようもなかった。

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