安藤泰至『安楽死・尊厳死を語る前に知っておきたいこと』岩波ブックレット
現代において安楽死や尊厳死の合法化を推進しようとする人々は、自分たちの主張や運動がナチスドイツの蛮行と並べられることに憤慨する。また、自分たちの主張を広く行き渡らせるために、ナチスのそれを連想させるような「安楽死(euthanasia)」という言葉自体を避けようという傾向も広く見られる。彼らの主張によれば、自分たちが求める安楽死とはあくまで本人の明確な意思に基づく自己決定としての死であって、優れた生と劣った生を峻別し後者を排除しようとする優生思想や、本人の意思に反して医師や国家権力によって「生きるに値しない」いうレッテルを貼られた人々を殺害していったナチスの「安楽死」などとは何の関係もない、ということになる。 しかし、本当にそうなのだろうか。
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