ヨーロッパがくたばろうと、生きながらえようと、彼〔ファノン〕にはどうでもいいことだ。だからこそ彼の書物はスキャンダルをまき起こすのである。そしてもし君たちが、さもおどけて困ったように、「ひでえパンチをくわせやがる!」と眩くならば、君たちはこのスキャンダルの真の性格に気づいていないことになる。なぜならファノンは、君たちにいささかも「パンチをくわせ」ようとしてはいないからだ。彼の書物──他の人びとにとっては燃えるように熱いこの書物──も、君たちに対しては冷えきっている。作者はしばしば君たちについて語っているが、決して君たちに語りかけようとはしていないのだ。(サルトル『植民地の問題』、p.64)
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