引っ越ししたくて、でも怖い
実家にいると金銭的にも時間的にも余裕ができるの本当にありがたいのだけれど、いつまでもそれじゃいけないと思うし、楽しいことも多い反面静かに心に溜まってくしんどさもあるので、6月に引っ越しする。
…と、決めたはいいけど…。
「ひとり暮らしってお金かかるんだよわかってる?」「試算してみな、食費は?光熱費は?水道代、ガス代、保険料は?」「東京行くとか言ってるけどひとり暮らししたら難しくなるよ」「今みたいにグッズや本買うのは無理になるね」「お弁当とか用意できるの?帰ってきて疲れてる中ご飯用意できる?」「出てくのは自由だけど、私らを安心させてから行きなね」
そう言われるとむぐってなるし、なんだかつらくなる。ぜんぶ正しいこと言ってるのはわかってる、わかってるけど…。
…できる気がしない…。
それでも、私は自立しなきゃいけないと思うんだ。できるようにしなきゃなんだ。
とりあえず100円玉を20枚貯めた。
…足りない気がする。
はやく、はやく参加メンバーを把握しなければ…必要なお金がわからないし、差し入れも用意できてない!!
やばい気がする!!!(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
前線を退いて教育係をやってるCA則宗さん(女性)、その美貌と頭の冴えで男女ともに人気だけれど、いつものらりくらりと誰のものにもならない。なのにそのにこにこのほほんとした笑顔が新人パイロットの清光くんを見た瞬間凍りつくんでしょ、いかんこれは…僕のすべてが、変わってしまう!
坊主と距離を取らねば。だというのに、こちらの焦りをすべてわかった上で、清光は余裕の表情を崩さず距離を詰めてくる。
「則宗さん、だっけか?…あんた、かわいいね」
しまった、と思った。
この坊主、僕に向かってなんて言葉を。
今まで散々言い寄られては来たけれど、誰ひとりそんな言葉はかけてこなかった。
それなのに。
ああ…駄目だ。きっと僕は、もう逃げられない。
めちゃくちゃド美人なCA則宗さん想像してしまってもう駄目です…このネタどこからでも美味しくいただけてしまう
機長則宗にめちゃくちゃ言い寄られてるけど仕事になんないからってずっと拒み続けてるCA清光ちゃんとかもいいな🌸周りの女の子たちはめちゃ優良物件じゃん、なんで〜!?ってなってるけどなんででも!!って言う。なんでかわかんなくなりかけてることに気付いてぞっとする清光ちゃん。そんなある日フライトが被って、それまではそつなく仕事をこなせていたのに、真面目な顔で舵を執る背中が思いの外広くて逞しいだとか、日に透けて輝く巻き毛がお伽噺のようだとか、窓から見える薄い空気の層がまるで則宗の瞳みたいとか、なんだかそんなことばかり考えてしまって仕事にならない。困った。大変に困った!!
「あんたのせいだからな!!!」
仕事終わり、清光は半ば泣きそうになりながらブチ切れた。今日の俺は可愛くなかった。今もそう、ほんと可愛くない。ぜんぶぜんぶ、あんたのせいだ。
いつもは飄々としている則宗も、このときばかりは面食らったようだった。重たげな睫毛が瞬き、ひと呼吸おいて言葉を絞り出す。
「それは、…期待しても、いいんだな?」