センシティブな則清とか加則加とか
則宗。
そのものではなかった。あのじじぃは何かとややこしい存在だったから。
だが、そこに飾られていた太刀は間違いなく、本丸でともに過ごしたあのくそじじぃの魂の一部だった。
思い出した瞬間、胸の中に大きな穴があいた。今まで自分がひとりぼっちだったことを、突然理解した。
清光はその日、博物館のショーケースの前で閉館まで過ごした。涙は出なかった。
街中ですれ違う元刀剣男士たちがわかるようになった。向こうは自覚があったりなかったりで、自覚があっても関わり合いを避けたがる者が多かった。同位体とも知り合った。どうやら加州清光はかつての同僚を懐かしむ傾向が強いらしく、最初のひとりと知り合ったその日にSNSのグループに招き入れられた。
そう頻繁にやり取りがあるわけではないのだが、同位体だけに同じ話題が新参者から出るのもお決まりの流れらしく、
「同じ本丸にいた連中って、わかるものなのかな」
と清光が尋ねると即座に返事が来た。
「今の所会ったことあるやつはいないけど、俺たちがお互いを別本丸の個体だって認識してるわけだし会えばわかるんじゃないの」
「同位体だからわかるだけで、他の男士はわかんないんじゃない?」
尸姦則清をふせったーから転載するわよ
閉じられた世界とか壊れた本丸に閉じこもってきよみつを山ほど顕現させて片っ端から折って一部屋に一きよみつ(死体)ってやっといて毎晩一部屋ずつ回っていくって言うやつ
朝まで添い寝して、ちっとも暖かくならない身体を抱いてがっかりして次の部屋に行く
当然やべぇことやってるわけだからガサ入れが入ってどっかの本丸のきよみつくんが後始末にくるんだけど返り討ちにあってバチボコに則清されちゃって(ソフトな表現)「お前さんはあたたかいな」とか言われてお気に入りに登録されて一室を与えられ閉じ込められちゃう
無数の死体と生きてるひとりの部屋を順繰りに回るのりむねくん
そのうち生きてるひとりが嫉妬に駆られて折れたきよみつくんたちを集めて全部燃やしちゃう
怒り狂ったのりむねくんは唯一生きてたきよみつくんを殺しちゃうんだけど、やっちゃってから我に返って呆然とする
どうしよう折っちゃった、ひとりだけあたたかかった大事な子だったのに
殺したばかりの身体はあたたかかった
ものいわぬ、でもあたたかいきよみつ
僕が欲しかったのはこれだ、って嬉しそうに笑ってハッピーエンド
まあそのあったかい死体もすぐ冷たくなるんですけど
センシティブな則清とか加則加とか
戦争の終わりは意外な形で訪れた。
加州清光は、政府からある日突然「あなたの役目は終わりました」と告げられた。
時間遡行軍との戦いにはまだ決着がついていない。なぜ今、と問うと審神者が悲しげに答えてくれた。
刀剣男士は物語の中に存在する刀剣を礎に織り上げられたかりそめの存在だ。付喪神と呼ばれてはいるが言ってみれば粗製濫造された複製品のようなもの。最初は知られていなかったが、戦争が進む中でかれらに耐用年数があることが判明した。戦闘中に前触れなく破壊される男士の数が増え、調査の結果かれらは経年変化により折れたのだということがわかった。
そして、と審神者は言った。
——加州清光、あなたももう間もなく折れるのです。
夢はいつもそこで終わる。
目が覚めると気分は最悪だ。主からお前はもう要らないと宣告されるなんて経験、夢だろうが一度すればそれでもうお腹いっぱいなのに。
自分が刀剣男士だったことを思い出したのは、つい最近のことだ。それまでごく当たり前の人間として生きてきた。進学を機に都心へ出、在学中に始めたモデルの仕事で食いつないでいたある日、撮影で訪れた公園のそばにあった博物館で清光はそれを見つけた。
センシティブな則清とか加則加とか
店員に案内されてテラス席にやって来た新しい客が、淡い色のレンズを入れた眼鏡を外しながらメニューを受け取っている。うつむいてページをくる、その顔は長い前髪に隠れてはっきりとは見えない。
それなのに胸の鼓動が大きく跳ねた。
手足は細く長い。ゆったりとした上着の中に隠されている腰もまた細いことは見ずともわかる。
「じゃあこの、本日のタルトセットください。飲み物は……ホットのカフェオレで」
薄い唇から流れ出すのは、ほんの少し掠れたようなざらりとした質感の声。お願いします、と告げるかれの視線がふとこちらへ流れてきた。
まともに目が合う。
呼吸が止まった。
——かれだ。
「き……」
喘ぐように声を絞り出す。意識するより先に、名前が口をついて出た。
「清光」
センシティブな則清とか加則加とか
仕事と称するささやかな社会奉仕の合間に出かけるのも、かれとの時間を楽しむためだ。
『今日は何したの?』
という甘い問いかけに嘘で答えたくなかった。風の冷たさや蝉の声、咲く花の色をかれに伝えたい。
今日は何を話そう。カフェで飲んだ紅茶が少し渋かったこと、けれど一緒に食べたプリンの甘さにはちょうどよかったこと、それからティーコゼーが猫の形をしていたことを伝えたら、かれは笑ってくれるだろうか。
テラス席は店の二階に設けられている。目の前は広場で、その向こうに海とそこに浮かぶ船、そして弧を描く海岸線に沿って街並みがけぶって見える。冬が近い今、海は暗く空は濃い青をしていた。
テラス下の広場を、思い思いの装いをした人が行き交う。
則宗は不思議な気分になった。
こんなにも人間がいるのに、自分が会いたいと願ってやまない誰かはどこにも存在しない。血縁もそれ以外のつながりも、則宗をこの世界に繋ぎ止める絆しにはなり得ないのだ。
自分はこの世からぷっつりと切り離されたような存在だと、そう思った。
空気が揺らいだのは、その心細さが胸に満ちたちょうどその瞬間だった。
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クロスフォリオのファンコミュニティをブログ風に使えると聞いたのでテスト
ログインなしで丸見えなのかなこれ
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