前線を退いて教育係をやってるCA則宗さん(女性)、その美貌と頭の冴えで男女ともに人気だけれど、いつものらりくらりと誰のものにもならない。なのにそのにこにこのほほんとした笑顔が新人パイロットの清光くんを見た瞬間凍りつくんでしょ、いかんこれは…僕のすべてが、変わってしまう!
坊主と距離を取らねば。だというのに、こちらの焦りをすべてわかった上で、清光は余裕の表情を崩さず距離を詰めてくる。
「則宗さん、だっけか?…あんた、かわいいね」
しまった、と思った。
この坊主、僕に向かってなんて言葉を。
今まで散々言い寄られては来たけれど、誰ひとりそんな言葉はかけてこなかった。
それなのに。
ああ…駄目だ。きっと僕は、もう逃げられない。