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海洋放出のIAEA効果が高かったと思い込んだ人たちが、二匹目のドジョウを狙って除染土再利用でもIAEAの権威を露骨に利用しようとしていたわけですが、IAEAの処理水放出についてどの程度効果があったのかという点から、政策効果を検証する必要があるのではないかと思います。

私は以前から言っているように、処理水放出で風評が起きなかったのは、流通プロセスへの働きかけの効果がもっとも大きかったと認識しています。風評被害における情報増幅モデル(amplify)から推論すると、今回の場合、値崩れが起きなければ、増幅が起きる前の発生元の段階で抑えられることになるからです。

そして、除染土再利用については、問題となる事柄やステークホルダーの多さ、利害関係の複雑さなど、あらゆる面から、処理水放出とは前提となる条件が違いすぎます。

政策は、それぞれの条件や背景にあわせてどれが効果的であるかを分析、考慮しながら決めていかねばならないはずなのですが、福島の風評関係や復興関係の政策については、稚拙以外のなにものでもない、素人以下のなんちゃって政策が自信満々んい大手を振って罷り通っているのが実態です。

リスク学で有名な、リスクの社会増幅フレームワークの発想に従えば、リスク情報は、発信源から受信者に伝わり、さらに受信者が発信源になって、拡大していくことになります。どのように拡大していくかは、それぞれの社会条件によって異なってきますが、増幅効果が高い場合は、そのプロセスそのものをコントロールするのは非常にむずかしくなります。

ここでリスク情報の増幅をコントロールしようとする場合、理論的に、もっとも効果的であると考えられるのは、確実に受信者=発信源となるステークホルダーに情報増幅前に働きかけることです。

情報の増幅機能が、逆に縮小機能に変化した場合、その差は乗数効果ほどは違ってくるはずです。

こういう論理的根拠から、小売りや国外の専門家への事前の働きかけがもっとも効果が高かったのではないか、と指摘しているのですが、対するIAEAお墨付き効果を支持できる実証的調査結果も、論理的根拠も、私は知りません。

onlinelibrary.wiley.com/doi/ab

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