アメリカの大統領選や都知事選、兵庫県知事選を並べて民主主義について嘆くのは、その事の軽重を見誤っているように思え、少し滑稽に感じます。しかし、デモクラシー自体の価値については、トクヴィルやチャーチルが指摘したように、あくまでも「最悪かもしれないが、他の方法よりはまし」といったものであることを忘れてはいけません。動員が陰謀論やポピュリズムに基づくものであっても、それも民意の一部である以上、その意見を侮ることはできません。特に一部の左派に関しては、明らかに自分より強くて大きい相手を過小評価しすぎではないかと感じることがあります。

ルカーチやグラムシを受け継ぎ、フランクフルト学派が勃興した時期にも、ナチズムの台頭によって左派は離散を余儀なくされました。当時はインターネットなどなかったため、彼らは実際に亡命し、国内外にネットワークを築きました。この経験は、今でも左派にとって重要な教訓だと思います。この「離散」の時期から、68年に至る遊撃戦が始まったことを忘れるべきではないでしょう。二十一世紀になりネットワークの形は大きく変わりましたが、その骨格は依然として先人たちが残したものに多く依存していると感じます。

杉田さんのこの投稿、意図はよく理解できるのですが、実際には左派が「ディアスポラ」(いまイスラエルがガザやレバノンで進行している状況を踏まえると、この言葉を使うのは少し躊躇しますが)として離散していく可能性が高いのではないかと思っています。Xのようなメインストリームからも見離され、YouTubeやTikTokなどの俗悪なコンテンツにも熱狂できず、ネット上に実質、居場所がないでしょう。ですから、mastodon.socialやtoot.blueといった特定のポリシーで運営されるサーバーに少数派として集まり、お互いに支え合いながら活動していくのが現実的なのではないでしょうか。さらに、外から石を投げるだけではなく、権力の中枢に対しても何らかの影響を与える方法を考えない限り、状況は変わらないという点は、共有しておくべき重要なコンセンサスだと思います。

(以下引用)
杉田俊介
11月17日
毎度のことだけど、この狂った世界の中で「私たち」はまともで正気でいましょう、生き延びましょう、みたいな犬笛はちょっと気持ち悪い…
x.com/sssugita/status/18581487

これを機にお師匠さんのナディア・ブーランジェも併せて聴かれたらよいと思う。
R.I.P. Quincy Jones
youtube.com/watch?si=OGWH2MlF4

私は改憲派なんだが与党のボンクラに弄らせるのは、護憲よりリスクの方が高いと思うから、これに関しては護憲派に協力するつもり。日本人、ネットならいくらでもやってるんだからまず署名を集めるところからでいいと思う。あと市民運動のオーガナイズを音楽ライターやってるアナーキズムに近い立場の人たちに主催してもらうこと。「極左立ち入り禁止」とかバカなルールを設けないで、誰でも自由参加でいいんだよ。もちろん警察に届け出も必要なし。人集めなんて基本的にレイヴと同じ要領でいいんだから。

今後の展望として、一応、≪議会の外で≫人々が連携する方法を模索していく方向は間違っていないと思う。しかし、護憲派のリベラルが一国主義に陥りがちであることを自覚することは重要。大上段からの言い方は避けるべきだが、国際的な関係を「個人のレベルで」構築し、必要に応じてフィードバックを行うようなネットワークが必要だと感じている。

友人に教えてもらったこの記事は非常に興味深かった。アメリカのネオコンが韓国を支持する理由が詳しく説明されており、韓国はアメリカの介入によって自由を獲得し、K-Popがその文化の象徴とされている。著者は、韓国の成功がアメリカの軍事支援に支えられていることを指摘し、他国で同じ成果を再現するのは難しいと述べている。この視点は、韓国や日本が似た状況にあることを示唆し、文化が政治に影響を与えることに触れている点も重要(自明だと言われがちだが、実際にはまったくそんなことはないので)。
theamericanconservative.com/wh

Diddyの件、2Pac殺害の捜査にまで発展する可能性も出てきたらしい。当初は当て擦りだと思われていたエミネムのKillshotが皮肉にも的を射ていたかもしれないわけだ。ビヨンセやJay-Zへの波及のみならず、この件のインパクトが大きいのは、これが70年代以降の黒人のゲットー・スタイルの一部であった「ピンプ」の否定であり、ひいてはギャングスタ・カルチャーそのものの終焉を意味するからだ。私たちはひょっとするとヒップホップ史上、いちばん大きな節目に立ち会うことになるのかもしれない。

LLとラキムが56歳で同い年。エミネム(たった)5つ下の51歳でNasと同い年、Jay-Zが54歳、そしてドレーが59歳…と見てくると、この辺の人たちはみんなそんなに離れてないんだね。意外にも。

"I have a black friend."をエクスキューズとして持ち出すのがダサいっていうのはわかるんだけど、なぜ自分には黒人の友達が一人もいないのかはそれとは別の話で、みんな一度は真面目に考えたほうがいいんじゃないかと思う。

SNSで画面をスクロールしながら、わかるけどそれ無理だよ、という主張をけっこう見る。だからといってやる気を削ぐようなことを言うのは悪いから何も言えないという…ジレンマがあるんだよね。

「原則、差別は悪い」のはその通りで異論も何もないんですけど、そのことと「いま現実に(目の前に)差別がある」とはやっぱり別の問題で、あまりに原理主義的な態度だと後者を認識できなくなるおそれがあるとは思う。

ビヨンセでもテイラー・スウィフトでもいいけど、彼女らにはポップの象徴としてあらゆるコミュニティから切り離されるという「孤立」の覚悟はあるのだろうか。

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マイケル・ジャクソンの『インヴィンシブル』を評した2001年のSnoozerの記事に「ポップ」についておもしろい考察があった。それは大雑把に言うと、マイケルは普遍としてのポップを目指したがゆえに、黒人コミュニティからも切り離され、世界中で愛されると同時に、あらゆる人種や国家からさえ切り離され、とうとう世界中でひとりぼっちなった、というもので、これはマイケルの圧倒的な孤独と「ポップ」というものについて、本質を突いていると思う。

人種や性別、国籍、地域性、経済的格差、その他さまざまな差異を無視して「平等に」というポップのコンセプトは最初から破綻しているんですよ。そんなのビヨンセが体現している民主党的なグロテスクさを見れば一目瞭然でしょう。理想を掲げることは無理を強いることじゃないよ。

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