「クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園」ネタバレあり感想①
今作は風間くんが主人公である。
そして青春がテーマである。
まず序盤からすでに風間くんと他のかすかべ防衛隊メンバーとの意識の差がコミカルに、しかし残酷に描かれている。
なんやかんやで学園カーストを上げるエリートポイントを荒稼ぎする"裏口"に手を出そうとしたところを吸ケツ鬼に襲われ、おバカになってしまう風間くんだがそこで学園長に「エリートになるプレッシャーに負けて精神のバランスを崩した弱い奴」と吐き捨てられるシーンは、こども向け映画にしてはかなり攻めていたと思う。
感想なのであらすじなどは省くが、吸ケツ鬼の正体が分かる前にスーパーエリート化(闇堕ち)して人間味をなくした風間くんとしんのすけがホウキを使ってフェンシングのように戦うシーンは迫力があった。防戦一方のしんのすけから元の風間くんを取り戻したい思い、エリートになりたがっていた風間くんを止めていいのかという躊躇いが伝わってきてとてもよかった。
「クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園」ネタバレあり感想②
吸ケツ鬼の正体も分かり、以前の風間くんが残していた手紙を読んで覚悟を決めたかすかべ防衛隊は映画ヒロインのチシオと共に風間くんと戦うことになる。いわゆるパン食い競走で。焼きそばパンのためにめっちゃ走る。
最初はスーパーエリートになりたがって「頑張るのは無駄」としんのすけたちを笑っていた他の生徒も次第にしんのすけたちを応援するようになる。ここでチシオのコンプレックスを克服させるのもよかった。
まあ吸ケツ鬼もまさかの恋愛絡みでの犯行だったわけで、友情・恋愛・成長と青春要素をこれでもかと詰め込んだ作品だった。
黒幕も「無駄こそ必要」と考えを改めてめでたしめでたし。野原夫婦の出番は少なかったが、チシオを後押しするシーンは親である彼らにしかできなかったと思う。
クレヨンしんちゃんのユルい作画だからこそ成立するミスリードもあり、どのキャラもそれぞれ役目と見せ所がありとてもよかった。無駄がなかったと書くと矛盾してしまうが。