My fffでアリス・ディオップ『私たち』、池の浮島を介して在りし日の父を映したホームビデオに切り替わるところで少し怖くなったのだが今はいないあるいはこれからいなくなる人たちの痕跡はホラー映画が撮る恐怖と近いからなのかもしれない。最近見たばかりだからか『クイーン・オブ・ダイアモンド』のカードテーブルを思い出した。機械的に繰り返すディーラーの動作とテーブルに海の漂着物のように来てはまたどこかに消える客たち。日本語字幕はないけどMUBIにもあるのでまたみよう。しかし早くみないとな。この緊張感がいいのかもしれない。アイヴォリーのボストニアンズが来てた。
The Wolfpack MUBIで駆け込み視聴。レザボアボックスの再現がアパートの一室で始まり楽しそうだねえでもなんかひっかかるなと思っていたら明らかになることの重大さ。バットマンの衣装やメイキャップ、レザボア・ドッグスの銃のような小道具がとても良く作られていて驚く。アパートから撮られたハロウィンの街頭を映した映像が切なく最後に秋のかぼちゃ畑ではしゃぐ彼らの姿が余りに楽しそうで幸せそうで体が躍動していて閉じ込められた歳月の取り返しのつかなさにつらくなったけれど彼らが撮る映画の映像が非常に魅力的でそこに少し救いを感じた。しかし事態が深刻すぎてドキュメンタリーとして鑑賞していることに罪悪感を覚ええる。13人の子供を家に閉じ込め虐待していたことが発覚した2018年のカリフォルニアの事件についてスザンナがABCから取材を受けていて、その記事からもうあのアパートに父親は住んでいないと知る。
METライブビューイングで『めぐりあう時間たち』鑑賞。冒頭の「花を...花を...」のリフレインが過ぎ去りながらしかし消えることなく残り続ける時間そのもののように感じられた。ネゼ・セガンが言うようにオペラだからこそできる表現様式を使って時空を超えていた。水の波紋のような海のようなコーラスと空気を表現するかのようなダンサーも素晴らしかった。キッチンと書斎の間から現れるリチャードのアパートをみたときの舞台でできることの全部乗せみたいになってきた...という慄きがちょっとある。50年代のローラが夫から押し付けられる家庭の幸福の象徴たるキッチンからクラリッサの家に、そしてはるか遠くを見るような目をしたヴァージニアがまるで時間の波間にそこを見つけたように合流する三重唱に涙ぐんでしまった。そういえばジャネット・ウィンターソンの『芸術と嘘』ではは全く接点のない3人の讃歌を『薔薇の騎士』の三重奏の楽譜を載せて表現してた。
『Hail Satan?』半笑いと顰蹙の対象だったSatanic TempleがHobby Lobby(創業者がガチガチのプロライフで従業員が受けるオバマケアの医薬品から避妊薬を除外することを求めて裁判に訴えたそして勝った)判決に対抗して声明を出したというニュースを伝えるMSNBCの記者の顔が完全に「やるじゃねえか」と言う顔で私も同じ顔でニヤついた。
今年英国のNTLiveで上映されるジェームズ・グレアム作『Best of Enemies』の原作ドキュメンタリーが、9日までMUBIで配信されてます。以前ネトフリで『好敵手:世紀のテレビ討論』という題で配信されていた作品。VPNを使わずに視聴できる貴重な機会だよ! 日本のNTLiveでも上映されるかもしれないし。
https://mubi.com/films/best-of-enemies
『Hail Satan?』MUBIで。「地方ニュースの件はこちらで良かったです?今度州議事堂前でSatanic Temple 主催の集会をするので... Satanicです。サムのSです。おっしABCの地方支局にも声かけたぞ。」という始まりからは想像できない不屈の市民精神で法を武器に政教分離の原則を取り戻そうとするめちゃくちゃ面白いそして自分の足元を振り返ってぞっとするドキュメンタリーだった。2/9まで。ばちこさんすきなんじゃないかな...
筏