実は初めて『オルランド』見たんだけど、こんなに愉快な映画だと思ってなかったので良い意味で驚いたし見てみてよかった!音楽素晴らしいね!
越境する身体にティルダ・スウィントンを持ってきた時点で勝利みたいな映画かと思ってたけどむしろ「そうである以上、それ以上でやらなくては」の志が凄い。この豪華さはただごとではない。第四の壁破りもこのくらい丁寧にやってればものすごく意味がうまれるのだなあ。わたしがわたしであること、それ以上でも以下でもないの宣言としての視線。
世界をバイナリではない、しかし社会のありようがそうである以上の規範からの思考の逃れられなさ、超越する身体をもってしても350年の経過をもってしてもまだここ、のシニカルなユーモアが通底してるのだが、サッと次にいく展開で意外なくらい苦味がないのね。気持ち良いくらいさっぱりとあっけらかんと飛翔してしまう。その軽やかさがよい。
テーマ的な今日性もあるし、この種のゴージャスさはついぞ見られなくなってる世の中なので、そろそろ再上映されそうな気がするな。
Everything Everywhere All at Onceまさか泣くとは思わず。すごく変でとても感動的。マルチバースという世界観を使っているからか鑑賞後の気持ちがジョー・ウォルトン『わたしの本当の子供たち』を読んだあとに似ている。クィアな世界は私たちをはめ込もうとするベーグルの穴なんか比較にならないほど広大でそしてあなたの手を掴む。
福岡市立美術館にソールライター展を見に行ってきた。流石に最終日で少し混み合っていたけれど写真を収めた額のガラスの写る鑑賞者たちの人影が、写真の中でガラスや水たまりに写っているもう一つの世界に加わっているようで面白かった。途中少し疲れてベンチに座りぼんやり見ていた写真の一つがまるでモンドリアンのように見えて近づいてみるとタイトルがまさに『モンドリアンの労働者』で吹き出してしまった。
筏