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『オズの魔法使い』(1939, ビクター・フレミング)

米アカデミー賞第一回視覚効果賞ノミネート作を見る5作目。

何度か見ているけど、この映画でファンタジー・御伽噺的な感覚がピークに達するのは、羽の生えた猿たちが魔女の命令のもと空を飛び襲い掛かりドロシーと犬のトトを抱えて飛び去っていく瞬間じゃないかなと見る度に思う。ワイヤーアクションなんだろうけど、あのスムースで素早い飛び去り方あっけに取られて見入るしかない。
でも、視覚効果賞っていう観点で見直してみると、視覚効果的なピークは最初の方の竜巻のシーンかも、と思った。あの竜巻、どうやって撮影したんだろうか?
セピア色のカンザスの農場のシーンは、巨大な屋内スタジオにセットを作って、壁に背景(=空)の絵を描いているんだろうけど、それが外の世界の存在しないような閉じた御伽噺空間の感じを作り出しているのだけど、その世界の端から巨大な竜巻が迫ってくるあの感じ。CGI以前の映画の、どうやって撮ったのか想像がつかない、っていう衝撃がある。
特撮じゃない部分だけど、カカシの登場場面で、カカシが自分はscarecrowなのにカラスを怖がらせることができない、って言うとカラスが飛んできて肩に止まり、カカシの藁をくわえて飛んでいってしまう。カラスに芸を仕込んでる!

というような驚きもあって、視覚効果(広い意味で)の観点で見ても色々と発見がありました。

あと、既出かもしれないけど、このオズの世界って映画・映画館そのものを表してるんじゃないのか、と突然思いついた。非現実の御伽噺世界で遊んで楽しんで、でも最後はお家に帰るんですよ。別世界のように見えてもこの中で起きることはちゃんと現実の世界と繋がっているんです。ここで見つけたことを持ち帰って、現実は色々と大変なこともあるけど頑張ってね。というような。
カラー初期の3色テクニカラー映画現実とは異なる色合いを持った独特の世界感があるから、当時の観客にとって今の観客よりももっと”別世界”を見に行くような体験だったんじゃないかと想像してしまう。

竜巻はエジプト綿の束だかなんだかをぐるぐる回して撮影した,と聞いたことがあります

ありがとうございます。現実の竜巻を撮ってはめ込んだようには見えないからどうにかして作ったんだろうな、とは思いつつでもどうやったのかは見た目からは想像がつかないんですよね。
少し調べてみようかなって気になりました。

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