こうした事態になれば、民間の医療・保険ビジネスは隆盛となるでしょうが、日本の健康寿命、健康水準は低下するでしょうし、医療費総額も青天井になり、その為の保険料も嵩んで家計を圧迫し、経済にも良い結果とならないでしょう。
また「二階建て」化がもし行われるならば、「特に持病のない健康な中間所得層」の負担が軽くなるかのように喧伝されるでしょう。既に「健康なサラリーマンが収める保険料が高齢者や働かない病人に無駄遣いされている」という不満が煽られており、このツリーにもそういう反応があります。しかし実は逆です。
重い健康保険料がなくなれば楽なようですが、家族や仕事、ローンがある人で「自分はけがや病気をしたら死んでも良い」という人は少ないでしょう。民間の保険に入ることになりますが、公的医療保険より一般に割高です。安く入れる保険はカバーが小さく、重い病気になれば自己負担で破産しかねません。
中間所得層では、無理をして家計に比して高い保険料を払い続けるか、医療費で破産するリスクを覚悟するかを選ばなければならなくなります。アメリカでも中間層が自己破産する最大の原因は医療費となっており、オバマケアもこれを改善できていません。

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経済界の主張を国民に浸透させるための甘言が「健康自己責任論」です。
曰く「1.国民皆保険や公衆衛生は伝染病が多かった時代の遺物。現代においては病気やけがはおおよそ予防可能である」
「2.確実な人生などない現代は、自己管理能力が問われる。自立した賢明な個人なら健康管理も当然できるはず」
「3.必要ならいくらでも医療が受けられるような公的医療は、モラルハザードを生じる。医療費がかさみ、自己管理している人がバカを見る不公平な仕組みだ」
「4.それにこれからの医療や保健は個人に合わせてマッチングする『オーダーメイド』型が主流になる。一律の公的医療はそぐわない」
などなど
まず「1」が現状認識から間違っていますし、「2」は健康と収入を二者択一しなければならない人が無視されています。「3」は弱者切り捨ての暴論であるとともに、個人のモラルハザードは民間保険でも起きますし、「4」の「オーダーメイド」には、当事者の支払い能力もマッチング条件に含まれています。
このモデルに近いアメリカが、医療費が多数の国民の脅威となり、また医療を受けられないことによる死亡、後遺症のために就労できなくなるといった問題も起きています。一見尤もらしい「健康自己責任論」は、個人を万能視する空論です

fedibird.com/@muka_jcptakada/1 [参照]

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