こうした事態になれば、民間の医療・保険ビジネスは隆盛となるでしょうが、日本の健康寿命、健康水準は低下するでしょうし、医療費総額も青天井になり、その為の保険料も嵩んで家計を圧迫し、経済にも良い結果とならないでしょう。
また「二階建て」化がもし行われるならば、「特に持病のない健康な中間所得層」の負担が軽くなるかのように喧伝されるでしょう。既に「健康なサラリーマンが収める保険料が高齢者や働かない病人に無駄遣いされている」という不満が煽られており、このツリーにもそういう反応があります。しかし実は逆です。
重い健康保険料がなくなれば楽なようですが、家族や仕事、ローンがある人で「自分はけがや病気をしたら死んでも良い」という人は少ないでしょう。民間の保険に入ることになりますが、公的医療保険より一般に割高です。安く入れる保険はカバーが小さく、重い病気になれば自己負担で破産しかねません。
中間所得層では、無理をして家計に比して高い保険料を払い続けるか、医療費で破産するリスクを覚悟するかを選ばなければならなくなります。アメリカでも中間層が自己破産する最大の原因は医療費となっており、オバマケアもこれを改善できていません。