フラジオレットを吹く盗賊の絵が残されている。吹き手はクロード・デュヴァルの子分。
出典はこちら
http://www.lookatpaintings.co.uk/work/claude-duval/
図の全体は、ロンドン郊外でデュヴァルの一団がある老貴族の馬車を襲ったところ。その場から貴族を追い払ったデュヴァルは、馬車から降り立った若い夫人にダンスを申し入れる。
二人はかつてヴェルサイユの宮殿で一度だけ顔をあわせたことがある。デュヴァルは宮廷の小姓として、夫人はさる公爵夫人の腰元として。そのさい気まぐれに交わしたダンスの約束を今ここで果たそうというのである。やがて子分のかなでるフラジオレットに乗って二人は踊りはじめる――というピカレスク・ノベルの一場を絵にしたもの。
クロード・デュヴァルは美貌を歌われた。
墓碑銘に次のようにあるという。(野尻抱影『英文学裏町話』)
Here lies Du Vall: Reader, if Male thou art,
Lock to thy Purse: if female, to thy heart.
ここに、デュ・ヴァル眠る。読む人よ、おん身男ならば
財布に御用心、おん身女ならば心に御用心。
人が壁を通り抜けるというマルセル・エイメ「壁抜け男」の発想は中国(の文芸や思想)由来ではないか。この仮説が当ブログの出発点。話はあちこちして、今はロンドン近郊を騒がせた盗賊の物語、どこまで外れたら気が済むのか自分といったところだが、むしろ、意図せずして出発点にもどったようでもある。
デュヴァルはカネと女心を盗んでまわった。
壁抜け男のジュチユールが熱中したのも、夫のいる女との情事と銀行破り。
#盗賊 #壁抜け男 #fedibird