地図の上で私はパリにいる。暦の上では今は20世紀の30年代。
だが私はパリにいるのでもなく、今は20世紀でもない。
私は中国にいて、中国語で話す。
三角帆の船で揚子江を遡っているところだ。
食物はアメリカの砲艦が捨てたごみを拾い集めている。
      ――ヘンリー・ミラー『暗い春』

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1924年夏、宜昌の港には、アメリカ2、イギリス3、中国1、日本1、計4カ国7件の商館があり、また6カ国の砲艦が停泊して自国民の保護にあたっていた。――とアリス・ホバートの長編小説『揚子江』の一節にあり。同書は揚子江での汽船就航に賭けたアメリカ人一家のファミリーヒストリー。航路の開拓には成功するが、最後は日本軍によって追い払われる。
『揚子江』というタイトルにひかれて、もしやと流し読み。ミラー『暗い春』の、ダウ船で揚子江を遡るとか、アメリカの砲艦が捨てた残飯とかのイメージのソースかもと思ったのだが、はずれ。ともかくこの時期、小説や映画もまじえて大量の中国情報がアメリカにも流れこんでいた。パール・バック『大地』なども。

揚子江 - 国立国会図書館デジタルコレクション
dl.ndl.go.jp/pid/1244269/1/24

Hobart, Alice (Nourse) Tisdale | Encyclopedia.com
encyclopedia.com/arts/news-wir

宜昌市 - Wikipedia
ja.wikipedia.org/wiki/宜昌市

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