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俳句といえば先日、老母宅を訪ねた折、角川春樹の見たことのない句集が食卓に置かれていた。角川春樹の句には圧倒されるものが多くて好きなのだが、『JAPAN』と題されたその句集はなんだか開いてみる気の失せる表紙で… でもやはり気になって手に取ってみると帯に「長渕剛 特別寄稿」とあるのに気づいた。怖いもの見たさで巻末を覗くとそこには春樹を「兄貴」と慕う長渕の、頭の破裂しそうな愛国メルヘンが繰り広げられていたのであった。

ところで長渕ってコンサートをすることを「演る」とかじゃなく「殺る」と言うんですね…… 結局一句も読むことなく、そっ閉じした。

蛇足かもしれないが、それは老母の私物ではなく「うちに来た誰かが置いて行ったもの」だそうだ。

いや、角川春樹の俳句って、ほんとスゴイの多いんですよ。自ら「芭蕉を超えた」と言うのも許せてしまうような、まあ自分で言うなよって感じはあるにせよ…

「春を呼ぶ鬼まだ見えず鉄格子」
「満月やマクドナルドに入りゆく」
「愚かにもつられて熊手買ひにけり」
「秋の昼マニキュアをする癌患者」
「書かれざる遺書もあるべし十三夜」
「獄食の卵割りつつ原爆忌」
「アハハハハ囚徒が笑ふ終戦日」

「黒き蝶ゴッホの耳を殺ぎに来る」

こういうのをどう解釈すれば良いのか、僕はまだその正解を知りません。困るな…

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