読んでいて凄く辛かった。どちらも最善を尽くしたいだけ、でもそれは異文化から見たら簡単に理解出来るものではない。
そもそも「ラオスからの難民として来たモン族が医療を受けられるのはアメリカのおかげだ、どうしてもっと歩み寄らないのか」と考えるアメリカ人に対して、モン族は「アメリカの代理戦争で多くを犠牲にして戦ったのに、どうして尊重してくれないのか」と考える。代理戦争については知らないアメリカ人も多い。(執筆時)
お互いの文化を尊重するということが、とりわけ緊迫した医療現場ではどれだけ難しいかというのがひしひしと伝わった。アメリカ人にはアメリカ人の誇りがあるように、モン族にも彼らの歴史と誇りがある。住む場所が変わってもそのアイデンティティは奪われてはいけない。
彼らが何をタブーとしていて何を望んでいるのか、分かり合えなくてもまずは分かり合おうとする姿勢がどれだけ大切なのかを感じた。
加筆された「15周年記念版に寄せて」、この本で知識を止めるのではなく、常にアップデートされていることを忘れてはいけないと書いてあり、それもまた強く印象に残った。