『もう死んでいる十二人の女たちと』パク・ソルメ 斎藤真理子 訳 (白水社)
読了。ほんとびっくりするほど読んでいて睡魔がすごかった。一ページ読んでダウンとか普通にあった。つまらないからなのか、というとそうではなくて、読んでいて「すごい、すごい、」ととても思うんだよね。読みたいの。でも読めない。
訳者による解説が「かなり変わってい」る、と述べているように、文章そのものがかなり……故意に破綻させている感じがある。「前衛的」「独創的」「難解」と評されているらしくて安心してしまった。私はこういうのが得意じゃないので、だから寝まくっていたんだな……。いしいしんじの作品のいくつかを挫折したことを思い出す。
著者の言葉として「文章を書いていて整っているなと思ったとき『これは本当に自分がやろうとしていたことかな?』と自問して、少し違う方向に進めることはある。でも逆に、整った方向へ行きたいときもある。体が必要な食べものを自然と欲するように、食べものを選ぶみたいに書いていこうと思います」というスタンスが紹介されていた。斎藤真理子は「意図的にぎこちなさを残した、容易に理解されることから身をかわすような文章の個性」と表現していて、これもまたすごくて唸った。
『もう死んでいる十二人の女たちと』パク・ソルメ 斎藤真理子 訳 (白水社)
光州事件、福島の原発事故、フェミサイド、を見つめ続け、それを大きな「社会問題」としてではなく、個として対峙し、がっぷりと組み合うというよりは常に意識しながら共に生きていくような距離感を感じた。すごい作品集だった。